2014 Fiscal Year Research-status Report
3次元有限要素法に対する精度保証および高精度計算についての研究
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25400198
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 健太 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (60432902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 卓也 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (00163832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 誤差評価 / 補間誤差 / 外接半径 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、3次元有限要素法の誤差評価について研究を行った。平成25年度までの研究により、2次元有限要素法においては領域分割を構成する三角形の外接円の半径が小さくなれば、有限要素法の誤差も小さくなることがわかっており、ドロネー三角形分割を用いることによって効率的なメッシュ分割法を実現できることが明らかになっていた。それに対して3次元有限要素法については、P1要素を用いる場合に、領域分割を構成する四面体の外接球の半径を小さくするだけでは有限要素法の誤差が減少しないことがわかっていた。そこで2次元および3次元有限要素法において、三角形や四面体の直径や外接半径に応じて誤差が減少するような有限要素を構築することを目的として研究を行った。まずは2次元において、連続なラグランジュ要素を用いた場合の誤差評価を導出し、P1要素と同様に誤差を外接円の半径で押さえられることを明らかにした。次いで、2次元および3次元について、ラグランジュ要素を含むやや広い範囲の有限要素のクラスを考え、これらの要素を用いるかぎり、どんなに高次の要素を用いても、オーダーの意味で誤差は改善されないことを証明した。 以上の結果により、連続な有限要素においては四面体の形によって誤差の減少が期待できないということが明らかになったので、非適合要素に関する誤差評価についても研究を行った。非適合要素については、2次元、3次元の両方において、局所誤差を三角形や四面体の直径で押さえられる要素を見つけることが出来たが、これを有限要素解の誤差評価に応用するにはメッシュ境界の不連続性を考慮した誤差評価が必要である。その誤差評価はまだ得られていないので、平成27年度に研究を行う計画である。 3次元有限要素法の誤差評価で重要となる、四面体上のP1補間による補間誤差定数の評価については、既存の結果より改善された評価を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、2次元に比べてほとんど誤差評価についての研究が進展してない3次元有限要素について、誤差評価の理論および方法を確立し、さらにその結果を偏微分方程式の精度保証に適用するというものである。この研究目的に対し、平成26年度までに、有限要素を高次化することによる高精度化の限界を明らかにすることができ、また、四面体要素に対する局所補間誤差の高精度化などの点で研究を進めることができている。偏微分方程式の精度保証への応用については、まだ研究が進んでいないが、この点については当初の研究計画でも平成27年度に実施することになっており、総合的に見て、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度における研究により、連続な有限要素を用いるかぎり、三角形や四面体が潰れていくときにオーダーの意味では誤差評価を改善することができない、という結果が証明された。これは、ラグランジュ要素の高次化など、単なる有限要素の改善だけでは有限要素法の誤差を減少させることができないということを意味している。よって今後は、別の方法、具体的には、非適合要素の誤差評価や、悪い潰れ方をしない効率的な四面体分割などによって、有限要素法の誤差を減少させる方法についても研究を進めたい。 3次元有限要素法に対する誤差評価を、実際の偏微分方程式に適用し、精度保証を実現する研究にも取り組みたい。
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Causes of Carryover |
スケジュールの都合により、研究打ち合わせおよび研究成果発表のための海外出張を平成26年度から平成27年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延期した海外出張については、平成27年度に行う。
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Research Products
(5 results)