2014 Fiscal Year Research-status Report
自己修正機能を有する自律分散システムの数理モデル作成とその数理解析
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25400199
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上田 肇一 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 准教授 (00378960)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 真正粘菌変形体 / 自律分散システム |
Outline of Annual Research Achievements |
真正粘菌にとって光は忌避的な刺激であり,一般的には移動速度が減少することが知られている.昨年度の研究により光刺激を時間周期的に与えた場合では,キネーネ帯の通過時間が光刺激を加えない場合の通過時間と比べて短くなるという結果を得た.今年度はその仕組みを詳細に解析した.生物実験家との共同研究により,光刺激により移動運動が活発化したグループと抑制されたグループに二分化される現象を発見した.数理モデルに対する数値実験によって、実験で観察された行動の二分化を再現するに成功した.
自己修復機能を再現する自律分散システムを構築するためにネットワーク上での力学系を研究した。具体的な課題としてループネットワーク探索問題を扱った.ループネットワークを自動的に発見すること、およびループネットワークが切断した場合に自発的に新たなループネットワークを探索する性質を有するシステムを提案することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原形質流動と移動運動に関わる化学反応の相互作用を考慮した粘菌移動運動の数理モデルを作成し,実験で観察された現象を再現することに成功した.導出した数理モデルを用いて移動運動が最も活発になるパラメータと抑制後リバウンドによって化学反応が最も活発になるパラメータが一致することを数値実験によって明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はネットワーク上の力学系において自己修復的なアトラクタ遷移を実現するモデルの設計法を考察する。振動子の同期クラスタ・非クラスタ化現象に着目し、振動子群からなるノードを循環的な相互作用によってネットワークを構成することによって、自己修正機能を実現することを試みる.
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Causes of Carryover |
数値実験データ処理用の計算機を購入予定だったが,数値実験データを得られたのが年度末であったため購入を見送った
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数値実験データ処理用の計算機を購入する
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