2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト空間値確率変数列の中心極限定理の精密化と対称統計量の漸近理論への応用
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25400211
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
金川 秀也 東京都市大学, その他部局等, 教授 (50185899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前園 宜彦 九州大学, 数理(科)学研究科(研究院), 教授 (30173701)
税所 康正 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70195973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 対称統計量の漸近理論 / エッジワース展開 / 時系列モデル / 数理ファイナンス / ボラティリティ推定 / 確率微分方程式 / オイラー・丸山近似 / 従属確率変数 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称統計量の漸近理論、特にエッジワース展開、大偏差理論とその応用について研究した。研究分担者である前園宣彦教授、税所康正准教授との研究連絡を行い上記の研究について共同研究を行った。さらに北垣客員教授、知沢清之客員教授と連携研究者として数値実験や超準解析の立場から共同研究を行った。 研究成果として以下の論文を発表した。 Dynamical Systems and Differential Equations, DCDS Supplement 2015, AIMSでは、ポートフォリオ理論への応用を行い、従属性のある金融データの解析について分析した。またStochastic Analysis and Applications, 2015, Taylor & Francisでは確率微分方程式の近似解の構成に対称統計量を適用し、その近似精度について解析した。さらにTheoretical and Applied Mechanics Japan, Vol.63 (2015)では株価データ分析を行い、対称統計量のボラティリティの推定量への応用と精度の解析を行った。 対称統計量は様々な推定量に応用されるが、本研究では特に数理ファイナンスへの応用に重点を置いた。数理ファイナンスではGARCHモデルのような各種の線形時系列モデルが用いられるが、それらはいずれも従属性を持つので、従来から研究されてきた独立確率変数列に関する対称統計量の理論を従属確率変数列の場合に拡張する必要がある。横浜国立大学吉原健一名誉教授との共同研究はこのような従属確率変数列への拡張に関するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在対称統計量の漸近展開について最終的な計算を行っている。本論文ではある種のヒルベルト空間に値をとる確率変数列の単純和によって対称統計量を表現する手法を用いている。ヒルベルト空間値確率変数列の単純和の収束に関してまだ十分に解明されていない点があり、現在その解決手法を探っている。しかしながら、その分析もほぼ解決できる目処が最近たつようになり、平成28年度中に論文が完成すると期待される。
理論の応用については順調に推移し、研究実績の概要のようにいくつかの研究成果を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から引き続き、ある種のヒルベルト空間に値をとる確率変数列の単純和によって対称統計量を表現する手法を用いて退化型対称統計量のエッジワース展開の分析を行う。さらに非退化型対称統計量に関しても前園宣彦教授との共同研究によって従来の結果の拡張を行う。
昨年度に発表した株価データ分析におけるボラティリティ推定量精度の解析を引き続き行う。特に、株価データをジャンプ型拡散過程モデルを用いて分析行った場合に、そのジャンプ数がポワソン分布に従うことを手掛かりにしてボラティリティ推定精度を解析できることが確認できた。この理論をさらに推し進めて、変動型ボラティリティ推定について研究する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に出席予定であった国際会議に、本務校の学務の関係から参加できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に2度の国際会議に出席予定であるので、その旅費に使う。また論文掲載料、連携研究者に対する旅費の補助に使用する。
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