2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒルベルト空間値確率変数列の中心極限定理の精密化と対称統計量の漸近理論への応用
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25400211
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
金川 秀也 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (50185899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前園 宜彦 九州大学, 数理学研究院, 教授 (30173701)
税所 康正 広島大学, 工学研究院, 准教授 (70195973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 対称統計量 / 漸近展開 / U-統計量 / V-統計量 / 中心極限定理 / ヒルベルト空間値確率変数 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称統計量、特にU-統計量とV-統計量について、それらの核関数が退化している場合について考察した。核関数が非退化の場合はH-分解と呼ばれるマルチンゲールを用いた解析が可能であり、漸近展開などの詳しい理論が知られてる。一方、Cramer-Von Mises統計量のように核関数が退化している対称統計量の場合はH-分解が適用できないために非退化型のような精密な解析が困難であった。退化型対称統計量に対してStoch. Proc. Appl., Vol. 49 (1994) において、ある種のヒルベルト空間に値を取る確率変数列の単純和の漸近挙動と対称統計量の関係について示している。この結果を改良して対称統計量をヒルベルト空間に値を取る確率変数列の単純和によって表現し、次にヒルベルト空間値確率変数列の和に関する漸近性を調べるという2段構えの手法を取ることで問題を解析した。勿論,このような考え方は従来の研究には全くなかったものである。 対称統計量をヒルベルト空間値確率変数列の無限和に変形した場合に、それが二乗積分(期待値)の意味で収束することは古くから知られていたが、各点収束するかが問題であった。この問題についてH. Sato, J. Theoritical Probab., 5 (1992), 349-353 の結果を用いれば線形作用素のnuclearityを調べることで解決することがわかり、これらをまとめて対称統計量の漸近展開に関する論文がほぼでき上がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対称統計量をヒルベルト空間値確率変数列の無限和に変形した場合に、それが各点収束するかが問題であった。これについてH. Sato, J. Theoritical Probab., 5 (1992)の結果から用いれば線形作用素のnuclearityを調べることで解決することがわかり長年の問題が解決し、これらをまとめて対称統計量の漸近展開に関する論文がほぼでき上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
対称統計量の漸近展開に関する論文がほぼでき上がったが、まだ論文として完成していないので、研究分担者と検討しながら完成させる。 さらに数理ファイナンスにおける金融データ解析のように確率微分方程式や線形時系列モデルによってモデリングされる場合にはデータの従属性を仮定する必要があり、対称統計量の漸近理論を従属確率変数列の場合に拡張する。
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Causes of Carryover |
平成28年3月27日に出張先の長崎大学構内で転倒し、膝骸骨を骨折し長崎大学病院に入院し手術を受けた。その後、9月16日に東京厚生年金病院で再手術を受けた。骨折事故によって特に国内出張が十分に出来ず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度行う予定であった研究分担者との3回の研究打ち合わせのために次年度使用額を支出する。
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