2015 Fiscal Year Research-status Report
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25400218
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
加藤 昇吾 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60468535)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統計数学 / 角度のデータ / 多変量解析 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目にあたる平成27年度は、3つの研究テーマに取り組んだ。 1つは、平成26年度に提案した2次元トーラス上の確率分布族について、引き続き研究を行った。具体的には、この分布族の新たなサブモデルを提案し、その統計的性質を考察した。そして、そのサブモデルについて、確率密度関数が陽な形で表されること、パラメータの解釈が容易であること、過去のサブモデルとは異なり非対称な確率密度関数を持つこと、などの性質を明らかにした。 2つめの研究テーマは、新たな多次元トーラス上の分布の提案とその統計的性質に関する考察である。新たな分布は、平面上のランダムウォーク問題を考えることにより提案した。そしてこの分布が、周辺分布がすべて一様分布となること、binding functionの設定により条件付分布をよく知られた分布になるようにできることを明らかにした。さらに、trigonometric momentが簡潔な形で表現できることを示した。そして、この分布の特別な場合として、条件付分布がフォンミーゼス分布となるサブモデルの統計的推測を議論した。具体的には、モーメント推定量が陽な形で表されること、EMアルゴリズムを用いて最尤推定値を求めることが可能であるなどの理論的結果を得た。また、シミュレーションにより、数値的にこれらの推定量を比較した。 最後に3つめの研究テーマとして、上記2つの確率分布から導かれるシリンダー上の確率分布を提案した。上記の2つのテーマにおける2次元および多次元トーラス上の分布は、すべての周辺分布が一様分布となる性質を持つ(つまり、コピュラとなる)。コピュラ理論の結果を応用することにより、確率変数変換を通して2次元および多次元シリンダー上の分布を得られることを示した。そして、この得られた2次元および多次元シリンダー上の分布について統計的性質を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書には、平成27年度は「角度の観測を含む多変量データのための確率分布を提案し、その統計的性質と推測を議論する」と述べた。「角度の観測を含む多変量データ」とは多次元シリンダー上のデータのことを指している。「研究実績の概要」で述べたように、実際、その研究テーマに取り組み、おおむね計画通りに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した平成28年度の研究計画に従い、平成27年度に提案した多次元シリンダー上の分布に関連した統計的手法の考察を行う予定である。
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Research Products
(22 results)