2015 Fiscal Year Research-status Report
パルサー・マグネター状態遷移から探る粒子加速機構および量子電磁気学効果の研究
Project/Area Number |
25400221
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
柴田 晋平 山形大学, 理学部, 教授 (90187401)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 高エネルギー天文学 / X線 / ガンマ線 / 粒子加速機構 / 中性子星 / パルサー / マグネター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では強い磁場を持った中性子星(電波パルサー)が示す、状態遷移に注目し、未解決のパルサーにおける粒子加速機構の解明の糸口をつかむとともに、強磁場電波パルサーとマグネターに見られる強磁場の量子電磁気学的効果を見いだすことを目指している。 電波からガンマ線にいたるまで幅広いスペクトルで放射を出していると思われているPolar Cap 領域のプラズマのPIC(Pariticle-in-Cell)法のプログラムを開発した。特に、磁気圏の状態変位を取り扱えるプログラムの開発をおこなった。従来の方法は正しく状態遷移(電流の急激な変化)を扱えないことを示し、正しい PICシミュレーションの方法を世界で初めて開発した(結果は論文投稿中)。状態の遷移はきわめて静かに起こることを示した。これは観測事実と合っている。いっぽう、その遷移によって電子陽電子対の生成がON/OFFすると考えられているがこの状況を数値計算によって示すことはまだ出来ていない。今後の課題である。 数値計算による研究と同時に、中性子星のX線観測データの解析およびその統計処理を行っている。とくに、電波パルサーのX線光度分布の解釈に統一的な見解が無かったが、われわれはモンテカルロシミュレーションによって観測事実を説明するモデルが構築できることを示した。新たな知見として、10兆ガウス以上のダイポール磁場を持つ中性子星はそれ以下の磁場の電波パルサーとは明らかにことなるX線放射の分布をしていることを示した。あらたに、これまでに知られていないX線光度を決める要因があることを明確に示した。この要因の一つとして電子陽電子対生成率が考えられることを示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値計算のアプローチとして新しい境界条件の取り扱いを示した論文を執筆したが、レフリーとの間に意見の対立があり、まだ決着していない。この点で、きわめて順調とは言えない。もう一つの観測的な研究については順調に成果を出すことが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外の研究者との議論を国際会議などをとおして行う予定である。 また、数値計算のアプローチでは電子陽電子対生成、光子分裂などの量子電磁気学的効果をプログラムに組み込む作業がのこっている。これができれば、強磁場パルサーが普通のパルサーと較べてどのような違った振る舞いをすることが予想できるかを予言できる。 観測データの解析では、まだ未観測の天体をSwiftのアーカイブデータを利用したり、新しくChandra やXMM Newtonのプロポーザルを出すことで推進したい。また、電波を出していないガンマ線パルサーについてもここで開発した手法を適用してX線放射機構について違いがあるか検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
2015年度開催予定の国際会議が2016年度開催になった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議の開催時期が変更になったことにより、遅延申請が認められた.
|
Research Products
(7 results)
-
[Journal Article] Sub-MeV Band Observation of a Hard Burst from AXP 1E 1547.0-5408 with the Suzaku Wide-band All-sky Monitor2015
Author(s)
Yasuda T., Iwakiri W.B., Tashiro M. S., Terada Y., Kouzu T., Enoto T., Nakagawa Y.E., Bamba A., Shibata S., Makishima K., and The Suzaku-WAM team
-
Journal Title
Publication Astronmical Society of Japan
Volume: 67
Pages: 41-53
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-