2013 Fiscal Year Research-status Report
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25400235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松下 恭子 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50366423)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線天文学 / 銀河団 / 銀河 / 化学進化 / 初期質量関数 / 星形成史 / フィードバック |
Research Abstract |
天文学の重要な目的の一つは、星、銀河や銀河群、銀河団の形成、進化を調べることである。銀河団は、重力的に束縛されたものとしては宇宙で最大の構造であり、冷たい暗黒物質の重力により形成される。現在の銀河団の銀河の多くは、我々の銀河系とは違い早期型銀河であり、近年星形成は活発ではなく、寿命の長い小質量星から構成される。銀河団や小規模な銀河団ともいえる銀河群の銀河と、我々の銀河系のような渦巻銀河の星形成史の違いを調べることが、この研究の主な目的である。 銀河団では、バリオンのほとんどは数千万度の高温ガス(銀河団ガス)として、銀河団を満たしている。銀河団の半径の半分まででは、大きな銀河団ほど全質量に対するガスの割合が多く、逆に星の割合が小さいことが報告されている。素直に解釈すると、大きな銀河団ほど、バリオンに対して星を少ししか形成せず、銀河群や小さな銀河団ほど星を多く形成してきたことになる。我々は、銀河群の重元素量と銀河光度の比を調べ、銀河団と比較することにより、銀河団、銀河群の熱的な歴史と重元素量、銀河光度比に相関があることを発見した。星形成史の差と考えるよりは、同じように星形成を起こし、銀河団ガスにエネルギー、重元素を供給したものの、重力ポテンシャルの差により、現在銀河群に閉じ込められている重元素量が少なくなっていると解釈できる。 巨大な銀河団では、2つの銀河団において、銀河団の端までの鉄の量を求めることに成功した。鉄の合成史だけではなく、ケイ素の量との比から、銀河団の銀河の星の初期質量関数に制限をつけることに成功した。その結果、銀河団の元素の総量は、太陽系近傍の初期質量関数からの予想に比べ矛盾がないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀河群のデータ解析については予定通り行い、論文として出版することができた。銀河群と銀河団をつなぐ天体の領域の端までの観測を行う予定であったが、当初の予定より半年観測が遅くなったので、まだ解析を開始したところであるが、他の巨大銀河団の解析を行い、成果を出し学会で発表することができた。これから論文としてまとめ投稿する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
銀河団と銀河群をつなぐ天体についてのデータを解析を行い、論文としてまとめ投稿する計画である。 巨大銀河団の解析結果については、論文の執筆を開始し、平成26年度中の出版を目指す。 次期X線天文衛星ASTRO-H衛星の研究のための準備を行い、打ち上げが成功し、データが手に入ったら、 研究経過に従って、解析を行い、論文として出版する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究用のPCを最新型を購入するつもりで古いものを用いていたが、噂されていた最新型が出なかったため、次年度に購入を遅らせることにした。 最新型のPCが発売され次第、3台ほど購入する計画である。
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Research Products
(6 results)