2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400236
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
北山 哲 東邦大学, 理学部, 教授 (00339201)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 銀河団 / 宇宙論 / X線 / ミリ波 / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
スニヤエフ・ゼルドビッチ効果は、銀河団などに付随する高温プラズマが宇宙マイクロ波背景放射光子を逆コンプトン散乱することによって引き起こされるが、近年の観測技術の急速な進歩に伴い、高品質のデータが次々と得られ始めている。我々は、このようなデータを活用した同効果による宇宙論的応用のさまざまな可能性に関する詳細な検討を行い、その結果を査読論文にまとめて出版した。特に、同効果とX線観測データの組み合わせによる角径距離の測定と、Ia型超新星爆発による光度距離の測定を組み合わせると、宇宙モデルのユニークな検証が可能になることに着目し、現状のデータが標準的な宇宙モデルと誤差の範囲内で整合していることを示した。また、宇宙マイクロ波背景放射の角度パワースペクトルには、現状では個別に観測できない遠方銀河団による同効果の信号が総和として寄与している可能性が高いことに着目し、最新の銀河団モデルに基づいた定量的予言を行った。 また、日米欧がチリに建設したアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAに対して平成25年度に提案を行っていた遠方銀河団RXJ1347.5-1145に対する同効果の観測が平成26年度中に無事実行された(観測所側の品質チェックを経たデータが、最終的に入手できるのは平成27年度以降の見込みである)。 さらに、平成27年度内に打ち上げが予定されている次世代X線衛星ASTRO-Hを用いた銀河団研究の展望に関する詳細な検討を、X線観測の専門家との協力のもとで行い、その結果を全92ページにおよぶ white paper に主著者としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を論文として発表するとともに、最新の装置による観測も実施され、近くデータが入手できる見込みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までに得た成果をさらに発展させつつ研究を進めていきたい。特に、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAや、次世代X線衛星ASTRO-Hについては、観測データが入手でき次第解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAによる銀河団観測データの入手が平成27年度以降の予定となり、また同年度後半にASTRO-Hの打ち上げも予定されていることをふまえ、できる限り最新で高性能の計算機を購入するためには、平成27年度以降に使用を実施するのが最適であると考えられるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入時点において最新の高性能ワークステーションを購入することを計画している。
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Research Products
(4 results)