2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400236
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
北山 哲 東邦大学, 理学部, 教授 (00339201)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 銀河団 / 宇宙論 / X線 / ミリ波 / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
スニヤエフ・ゼルドビッチ(SZ) 効果は、X線とは独立かつ相補的な高温プラズマの観測手段であるが、信号が微弱であるため、高空間分解能観測は従来極めて困難であった。近年進展が著しいSPT、ACT、PLANCK等による観測データも、その空間分解能は1分角よりも大きく、特に遠方銀河団の内部構造を探るには不十分である。我々は、初めて5秒角の空間分解能でのSZ効果観測を実現することにアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を用いて成功した。この成果は、論文として出版されるとともに、ALMAやヨーロッパ南天天文台(ESO)のホームページ等でニュースとして紹介された。 また、平成28年4月に運用を停止したX線天文衛星「ひとみ」が事故前に取得していたペルセウス座銀河団の観測データの初期解析から、銀河団中心部のガス運動速度が従来予想されていたよりもはるかに小さいこと、および過去のX線衛星により報告されていた暗黒物質起源と考えられる信号が棄却されることなどを明らかにしたので、それぞれ論文として出版した。これらの成果については、さまざまな系統誤差を考慮したより詳細な解析結果をまとめた論文を現在準備中である。 加えて、宇宙論的大規模シミュレーションから示唆される銀河団の非球対称性を実際の観測データを比較する新しい方法論の提唱も行った。 さらに、X線天文衛星チャンドラによるデータから、Abell 1835銀河団中に渦巻状のガス内部構造が存在することを発見した。この発見は、見かけ上安定している銀河団においても、銀河団衝突が起こっており、銀河団の内部構造に無視できない影響を与えていることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一連の研究成果を計6編の査読論文として平成28年度中に出版することができた。また、更に次の論文も出版に向けて準備中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに得た成果をさらに発展させつつ研究を進めたい。平成28年度初頭に運用停止となったX線衛星「ひとみ」が事故前に取得していた希少なデータを活用するための研究も進める予定である。
|
Causes of Carryover |
平成28年度は、これまでに得られた研究成果に関する招待講演の依頼を海外の研究機関から受けたが、その渡航・滞在費の一部が依頼側から支出されたため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、主に研究成果発表のための旅費支出、およびその際に用いるノートパソコンの購入などを計画している。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] The Sunyaev-Zel'dovich effect at 5": RX J1347.5-1145 imaged by ALMA2016
Author(s)
Kitayama, Tetsu; Ueda, Shutaro; Takakuwa, Shigehisa; Tsutsumi, Takahiro; Komatsu, Eiichiro; Akahori, Takuya; Iono, Daisuke; Izumi, Takuma; Kawabe, Ryohei; Kohno, Kotaro; Matsuo, Hiroshi; Ota, Naomi; Suto, Yasushi; Takizawa, Motokazu; Yoshikawa, Kohji
-
Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 68
Pages: id.88, 1-19
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
[Journal Article] The ASTRO-H (Hitomi) x-ray astronomy satellite2016
Author(s)
Takahashi, Tadayuki; Kokubun, Motohide; Mitsuda, Kazuhisa; Kelley, Richard; Ohashi, Takaya; Aharonian, Felix; Akamatsu, Hiroki; Akimoto, Fumie; Kitayama, Tetsu (103番目); Ota, Naomi (175番目); 他259名
-
Journal Title
Proceedings of the SPIE
Volume: 9905
Pages: id. 99050U
DOI
Int'l Joint Research
-
-
[Presentation] ALMAによるスニヤエフ・ゼルドビッチ効果の初観測2017
Author(s)
北山哲, 上田周太朗, 高桑繁久, 堤貴弘, 小松英一郎, 赤堀卓也, 伊王野大介, 泉拓磨, 川邊良平, 河野孝太郎, 松尾宏, 大栗真宗, 太田直美, 須藤靖, 滝沢元和, 吉川耕司
Organizer
日本天文学会2017年春季年会
Place of Presentation
九州大学(福岡県福岡市)
Year and Date
2017-03-16
-
-