2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
北本 俊二 立教大学, 理学部, 教授 (70177872)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 銀河団 / 超高分散分光 / ASTRO-H |
Research Abstract |
2015 年にASTRO-H 衛星の打ち上げが予定されており、超高エネルギー分解能で、広がった天体をX線観測できる新しい時代が始まる。銀河団を超高エネルギー分解能で観測できれば、今までとまったく独立な方法で、銀河団の重力分布、従って暗黒物質の分布を測定できる可能性がある。そこで、本研究では、その可能性を追求し、最新の検出器の性能を使用して実現性を検討する。本年度は4つの研究項目を予定していた。それぞれ次のように遂行した。 1. 計算機によるシミュレーションで銀河団内での輝線放射の赤方偏移の測定可能性を調べた。まず、近傍で明るいペルセウス座銀河団のこれまでの観測で推定されている半径方向のガス密度分布を仮定して、鉄のK輝線をシミュレーションした。温度分布は一定と仮定した。射影の効果で特徴的な輝線形状を期待したが、中心での強度が圧倒的に強いため、輝線形状の変化の観測は難しい事がわかった。また期待される0.5eVの中心エネルギーのずれを検出するためには、ASTRO-H 衛星のSXSでおよそ100k秒の観測で可能である事がわかった。 2. ペルセウス座銀河団の中心では~10km/secで運動するドップラー効果に相当する重力赤方変位が存在する事を示した。 3. SXSの機能試験、較正試験に参加し、冷凍機の振動による分解能劣化の原因究明に貢献した。他のSXSチームメンバと協力して、振動を押さえる事で5eV 程度の分解能が達成できる事を確かめた。フライトモデルで振動を押さえる方策を検討中である。 4. 可能な範囲で精度の高いSXSの応答関数を用いて、銀河団での重力赤方偏移の観測のシミュレーションの精度を上げる予定であるが、現状の応答関数を用いるに留まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銀河団ガスの運動の効果の反映をうまく取り込む必要がある。また、SXSの性能向上には寄与しているが、応答関数の構築,改善には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ASTRO-H衛星は2015年夏に打ち上げ予定で試験が進んでいる。現在、機械及び電気噛み合わせ中であり、平成26年度の夏から、総合試験が予定されている。SXS の応答関数の構築は継続しているので、最新の応答関数を使いシミュレーションを行う。また、銀河団中の熱運動や、相対運動等の考慮が不足しているので、いくつかの仮定を行い、暗黒物質観測との関連をシミュレーションで調べる。 また、SXS に拘らず、将来衛星を睨み、より精度の高い暗黒物質の量や分布を観測計測するために、必要な面積、観測時間、エネルギー分解能についてのシミュレーションを基に考察をする。2 年目以降の研究項目をまとめると次のようになる。 (1) SXS の応答関数の構築を継続する。(2) SXSの最新の応答関数でシミュレーションを継続する。(3) 将来衛星を睨んで、充分な重力赤方偏移を測定するために必要な、面積、観測時間、エネルギー分解能をシミュレーションで考察する。 平成27年度にASTRO-Hの打ち上げが予定されている。うまくいけば、SXSによる銀河団のデータが手に入る。それらを解析して、シミュレーションによる見積りとの差異を検討し、暗黒物質の存在、量、 分布の検討を行う。
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Research Products
(2 results)