2013 Fiscal Year Research-status Report
広汎な画像データから太陽系小天体を検出するソフトウェアの開発
Project/Area Number |
25400238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 太陽系小天体 / 測光観測 / ソフトウェア開発 |
Research Abstract |
この研究は平成23-24年度に行ったパリ天文台の研究者とのソフトウェア開発が基礎になっている。平成25年度には日本からパリ天文台へ出向き、すばるのSuprime-Camの画像データに適用する移動天体検出ソフトウェアの開発を行う予定であったが、パリの研究者が来日の資金を得たので、国立天文台に来てもらい、国立天文台のコンピューターにソフトウェアの移植を行った。これにより、セミオートで、天体の検出から天体の位置と明るさの測キャリブレーションが可能になった。 研究代表者はこのソフトウェアを使って、すばる望遠鏡のアーカイブデータから、2002年9月に撮られた単一視野を連続観測した100数十枚の画像を解析し、112個の移動天体のキャリブレーション済みの光度変化のデータを得た。現在そのデータから、個々の移動天体の自転周期の決定を行っているところである。 現在の天体検出ソフトウェアでは、多くの場合うまく移動天体を検出できるが、Suprime-Camのある特定のCCDチップでは、目で見てそこに移動天体があることは明らかなのに、まったく検出できなかった。これはおそらく個々のCCDチップの感度特性と関係すると推測され、現在原因特定を行っているところである。 また、平成23-24年度にはパリ天文台の研究者との共同研究とは独立して、國立中央大学(台湾)の研究者ととも移動天体の測光ソフトウェアの開発を進めていたが、本年度はその測光ソフトウェアを2005年8月に撮られたSuprime-Camの多バンドのデータに適用してみた。このソフトウェアは天体形状にフィットしたアパーチャー測光を行うので、小惑星のような長期露出の間に延びた形に写る天体の測光精度は、研究代表者が従来使用してきた円形のアパーチャーを使うソフトウェアより向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国立天文台のコンピューターに開発されたソフトウェアを移植し、本格的にSuprime-Camデータの解析が可能になった。まだセミオートでしか解析が進まないので、今後どこまで自動化できるかが、作業効率化の鍵となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、パリ天文台の研究者と協力して開発をすすめたソフトウェアと、國立中央大学の研究者の協力で開発された測光ソフトウェアの良いところを合体させ、さらにより広範囲で自動化を可能にする。そして、Suprime-Cam以外の画像データにも適用できるよう、開発を進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にはこちらからパリ天文台に出向いて、ソフトウェア開発および、国立天文台のコンピューターへソフトウェア移植を行う予定であったが、幸運にもパリ天文台の研究者が独自に訪日する資金を得たため、3人の研究者が来日し、日本で打ち合わせ且つ開発等を行うことができた。 平成26年度はパリ天文台と國立中央大学をそれぞれ2週間ほど訪問し、当研究で開発したソフトウェアを使って得た解析をもとに、論文かを行う予定である。 また、パリ天文台と國立中央大学の研究者に国立天文台に来てもらい、ソフトウェアをより自動化して、より精度の良い位置測定と測光ができるようなものになるよう研究を進めていきたい。
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