2013 Fiscal Year Research-status Report
全天X線サーベイによる銀河系ハローの新種のX線星の探査と大規模バブル構造の解明
Project/Area Number |
25400239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉崎 睦 独立行政法人理化学研究所, MAXIチーム, 研究員 (00469933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線天体観測 / 宇宙実験 |
Research Abstract |
国際宇宙ステーション全天X線監視装置(MAXI)ガススリットカメラ(GSC)ガスカウンターの軌道上の装置の校正、科学解析ソフトウエアの改良、データ解析を進めている。軌道上の高い放射線バックグラウンド下ではガスカウンターの炭素芯線が急速に劣化することがわかったので、荷電粒子レートが高い時にはアノード電圧を落とし、放電の兆候が見られたカウンターは時々休ませて、注意深く劣化を監視しながら運用を続けている。ガスカウンターのガスゲインの長期安定性を調べている段階で、12台のガスカウンターの内1台で、ガスゲインが2013年6月10日より突如上昇し始めていたことがわかった。原因として、ガス圧が徐々に低下し始めたことが考えられる。経験的なガス圧とガスゲインの関係式を用いると、ガス圧は1年間で約半分程度になると見積もられる。現在は、アノード電圧を少しづつに下げて、ガスゲインがなるべく一定になるように運用している。ガス圧の低下によって2-30 keVのエネルギーバンドのうち~15 keV以上では検出効率がほぼ比例して下がると考えられるが、低い方のバンドはほとんど影響なく、実際にデータでまだ有為な変化は見えていない。他のカウンターでは、ガスゲインの変化は2%以内に収まっている。ガスカウンターのバックグラウンドは、ソユーズの高度計に使われているガンマ線源の影響があることがわかっているが、モデル化のためのデータ解析を行った。 これらの軌道上の観測装置の運用の最新の状況を韓国ソウルで行われたIEEE会議、日本物理学会で発表した。 得られた軌道上での観測装置の動作特性データを科学解析プログラムが取り込めるように、校正データベース、ソフトウエアの改良を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画1年目は、MAXI GSCの観測装置の軌道上の校正、応答関数の作成に大方目処を付ける予定であったが、ガスカウンターの1台に予想しないガス圧低下が見られたり、JAXAの地上データ処理システムのハードディスクが故障して2ヶ月復旧しないとういうトラブルがあり、データ解析ソフトウエアの開発準備段階で少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画1年目は、MAXIの軌道上の運用、観測装置の応答関数の校正の段階で予想外の問題があって遅れ気味であるが、今年度は1年目で得た経験を元にデータ解析ソフトウエアの開発改良を前進させる。ソフトウエア開発の目処が立って科学データ解析の準備が収束してきたら、研究対象である銀河系ハローの新種のX線源と大規模バブル構造のデータ解析に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MAXI観測装置の軌道上の動作、地上データ処理システムに想定外の問題が生じたため、科学データ解析システムの開発が若干遅れている。 観測データの増量に見合うように、データ解析用計算機を補強する。MAXIの観測装置の軌道上の動作状況、それに応じた応答関数の校正と改良点を学術誌に発表する。
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Research Products
(3 results)