2014 Fiscal Year Research-status Report
全天X線サーベイによる銀河系ハローの新種のX線星の探査と大規模バブル構造の解明
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25400239
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
杉崎 睦 独立行政法人理化学研究所, MAXIチーム, 研究員 (00469933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | X線天体観測 / 宇宙実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際宇宙ステーション全天X線監視装置(MAXI)ガススリットカメラ(GSC)の軌道上運用、応答関数の校正、解析ソフトウェアの改良、科学データ解析を進めている。 本研究の出発点になる無バイアスな新X線星の探査では、観測装置の応答関数の精度が非常に重要になる。これまでの運用4年間のデータを分析したところ、ガスカウンターのガス圧の経年変化が無視できないことがわかってきた。そこで、イベントデータ処理プログラムに、ガスカウンターの状態監視データからガス圧を見積もり、データ処理で使う校正データを更新するプロセスを組み入れた。現在、過去のデータまで遡ってイベントデータ処理をやり直しており、それに合わせた解析ソフトウエアの改修も行っている。また、データ処理に関連しては、宇宙科学研究所と協力して、NASA/GSFCの標準解析ツールに合ったイベントデータアーカイブを構築する作業を進めている。 観測データの科学解析では、MAXIの全天サーベイで監視しているBe/X線連星パルサーのアウトバーストの解析で進展があった。4年間に観測されたBe/X線連星のアウトバーストのデータで、MAXIのデータから得られたX線光度とFermi/GBMのパルス周期解析から得られた周期変化率の関係を調べたところ、理論モデルの予想から外れるものがあることがわかった。これは、中性子星パルサーの形成過程と関係していると考えられ、連星系の進化の研究に繋げて行く計画である。また、これまで得られた結果を、名古屋大学で行われた国際Fermi研究会と早稲田大学で行われた日本物理学会で報告した。国際Fermi研究会の後、Fermi/GBMのパルサー研究チームと共同研究を行う方向で協議している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MAXI GSC ガスカウンターの応答関数の経年変化が無視できない段階に来ており、解析ソフトウエアやデータ処理の行程に大幅な改良が必要になった。校正データ解析から経年変化のモデル化を進めているが、単純ではないことがわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きMAXIの軌道上運用と応答関数の校正、科学データ解析を進めていく。本年度はイベントデータを含めた観測データと解析ソフトウエアのチーム外への公開を試験的に始める計画ある。 研究課題の最終目的である銀河系ハローのX天体の空間頻度分布、大規模バブル構造のデータ解析を行う。
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Causes of Carryover |
MAXIの応答関数の時間変化が想定以上に複雑になったために、校正データやデータ処理ソフトウエアの改修のスケジュールが遅れている。そのために、計画していた系統的X線星探査の解析の段階に進めず、この解析で使う計算機とストレージの購入を遅らせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していた計算機とストレージを購入する。 解析ソフトウエアの最適化を徹底してデータ処理にかかる時間を短縮し、研究計画を遂行する。
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