2014 Fiscal Year Research-status Report
ドリップライン近傍での変形共存と新しいタイプの中性子ハローの研究
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25400240
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 真明 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402813)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子ハロー / 不安定核 / 反応断面積 / 核半径 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、1)NaおよびMg同位体の反応断面積の評価と1中性子ハロー核の解析 2) 荷電変化断面積に基づいた、不安定核の陽子半径の評価 を行った。 1)NaおよびMg同位体の反応断面積評価では、まずMg同位体の反応断面積の系統的評価を行った。その結果、以下の知見を得た。「核変形が大きくなることで、反応断面積が球形の形状から予想されるものよりも大きくなることを確認した」「魔法数N=20が消失し、大きな核変形が生ずる、いわゆる反転の島はN=19の系(31Mg)から始まっており、そのことは反応断面積の急激な増加となって現われる」「N=19系で始まるMg同位体の大きな変形はdrip-line核(40Mg)まで続いている。つまり、N>18のMg同位体は軒並み大きく変形している」「37Mgの反応断面積は、変形だけで説明できないほど際だって大きい。従って中性子ハローが形成されていると考えられる」。Na同位体に関しても反応断面積の計算を終え、論文出版準備中である。 2)荷電変化断面積と陽子分布の半径との関係を、Be, B, C, N, O同位体に対して調べた。Be, B同位体では、中性子数の増加に伴ってクラスターが形成され、結果として陽子半径が増加すること。この陽子半径の増加は、荷電変化断面積の増加として観測できる事を示した。これらの結果は既に論文として発表済みである。また同様の解析をC,N,O同位体に対して行い、論文出版準備中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応断面積の評価・研究は当初の計画よりも進展し、既にMg同位体より軽い系に対する研究を終えた。また、当初計画を超えて、荷電変化断面積を見ることで陽子半径の変化に対しても研究を行うなど、微視的構造模型に基づいた断面積評価は、計画よりも大きく進展している。
一方、2中性子ハロー核の研究は、必要となる数値計算のコストが当初予想を上回っており、当初の計画とは異なった理論手法の開発が必要となった。そのため、当初の目的を達成するに至っていない。
以上より、計画全体としてはおおむね順調に進展していると評価する
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Strategy for Future Research Activity |
以下の2課題に取り組む a) 2中性子ハロー核を記述するための理論模型の開発 b) 不安定核の陽子半径の系統的解析 これまでの研究によって、1中性子ハロー核に対する研究手法はほぼ確立した。2中性子ハロー核の微視的記述を行うためには、数値計算のコストが膨大になるという問題を解決する必要がある。今後は、確率的変分法を採用することで、2中性子ハロー核を記述する方法を開発する。まず、6He等の質量数の小さな系を対象とし、プログラムの開発、ベンチマークテストを行う。その後、22C, 31Fなどより質量数の大きな2中性子ハロー核候補に対して研究を進める。 また、これまでBeからOまでの軽い不安定核に対して荷電変化断面積の解析による陽子半径の議論を行って来た。今後、より大きな陽子半径の変化が期待されるNe, Mg同位体に対して同様の研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国内出張分として、使用を予定していたが、出張先より補助を受けることが出来たため、翌年度分として繰越した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度に当たるため、成果報告のための研究会出席費用として使用する予定。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Proton Radii of 12-17B Define a Thick Neutron Surface in 17B2014
Author(s)
S.Terashima, I.Tanihata, R.Kanungo, A.Estrade, W.Horiuchi, F.Ameil, J.Atkinson, Y.Ayyad, D.Cortina-Gil, I.Dillmann, A.Evdokimov, F.Farinon, H.Geissel, G.Guastalla, R.Janik, M.Kimura
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Journal Title
Physical Review Letters
Volume: 113
Pages: 1-4
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ground-state properties of neutron-rich Mg isotopes2014
Author(s)
S.Watanabe, K.Minomo, M.Shimada, S.Tagami, M.Kimura, M.Takechi, M.Fukuda, D.Nishimura, T.Suzuki, T.Matsumoto, Y.R.Shimizu, M.Yahiro
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Journal Title
Physical Review
Volume: C89
Pages: 044610-1-13
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Proton radius of 14Be from measurement of charge-changing cross sections2014
Author(s)
S.Terashima, I.Tanihata, R.Kanungo, A.Estrade, W.Horiuchi, F.Ameil, J.Atkinson, Y.Ayyad, D.Cortina-Gil, I.Dillmann, A.Evdokimov, F.Farinon, H.Geissel, G.Guastalla, R.Janik, M.Kimura,
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Journal Title
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2014
Pages: 101D02-1-6
DOI
Peer Reviewed
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