2016 Fiscal Year Research-status Report
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25400242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石橋 延幸 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70211729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超弦理論 / 弦の場の理論 / 共形場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
超弦理論の次元正則化、光円錐ゲージの超弦の場の理論、開弦の場の理論の古典解の研究、sine square deformation等のトピックについて成果を挙げた。 超弦理論は重力を含む量子論の最も有望な候補であるが、いまだその非摂動的定式化がよくわかっていない。このような定式化を与えるアプローチの一つとして、弦を第二量子化する「弦の場の理論」がある。超弦理論にはspurious singularityと呼ばれる問題があり、超弦に対する弦の場の理論を構築することはこれまで難しい問題とされてきた。本研究では、光円錐ゲージの超弦の場の理論において次元正則化を用いることによりこの問題を回避できることを提案し、示してきた。今年度は、even spin structureに対応するmulti loop振幅の場合にこの方法は有効であり、振幅はSenとWittenによって与えられた方法によって得られるものと一致することを示した。 開弦の場の理論の運動方程式の解については、タキオン真空解と呼ばれる解を構築したSchnablの研究以来、活発に研究されてきた。特に最近、ErlerとMaccaferriが、かなり一般的な解を作る方法が提案し、さらなる発展が期待されている。本研究では、constant field strengthを持つU(1)ゲージ場の配位に対応する古典解をErler-Maccaferriの方法によって構築し、その性質を議論した。 スピン系において、結合定数をsine square deformationと呼ばれる方法によって変化させても、基底状態が変わらないという興味深い現象が知られている。本研究では、この現象を共形対称性がある場合について解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的である光円錐ゲージの超弦の場の理論の次元正則化の研究に関しては、この方法を用いて計算することにより、even spin structureに対応する振幅については正しい振幅を得ることができることを示した。残るはodd spin structureに対応する振幅およびRamond sectorの外線を含む振幅の場合である。これらについてはある程度うまくいくことをすでに確認している。従って、この研究に関してはようやく取りあえずの目標としていたことが実現できる段階に入ってきたといえる。 それ以外にも、弦の場の理論の古典解の研究やsine square deformatioの研究など、当該研究計画に関係しているが当初の計画にはなかった研究も行った。弦の場の理論の古典解の研究は、非可換幾何学・行列模型などのトピックと深い関係にある。これらのトピックは、最近筑波大学の伊敷氏等によって新たな視点から見直されてきており、我々の弦の場の理論の手法を用いた研究と伊敷氏等の研究を組み合わせることにより、新たな発展が期待できる。sine square deformatioの研究は、弦の場の理論の手法が物性理論で発見された現象の解析に有用であった例であり、今後同様な発展が期待できるかもしれない。 これらの研究を全体としてみれば、次元正則化の研究は予期していたよりも時間がかかっているが、当初の計画になかった研究の進展もあるので、研究課題に関する研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
光円錐ゲージの超弦の場の理論の次元正則化の研究は、odd spin structureに対応する振幅の場合および外線にRamond sectorの状態を含む振幅の場合について、振幅が正しく再現されることを示す必要がある。これらの場合については計算が進んでおり、うまくいくのではないかと考えている。 これらについての研究の後、光円錐ゲージの超弦の場の理論を用いて超弦理論の非摂動効果に関する問題を議論する予定である。
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Causes of Carryover |
海外出張において、先方から費用が出たものがあり、使用計画に狂いが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用期間を1年延長し、出張・物品の費目で使用する予定である。
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Research Products
(9 results)