2015 Fiscal Year Research-status Report
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25400247
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
松井 哲男 放送大学, 教養学部, 教授 (00252528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宏次 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (10313173)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | クォーク・ハドロン相転移 / PNJL模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
松井は、クォーク・ハドロン相転移の際にバリオンがどのように融解するかを、PNJL模型を拡張した模型で記述する研究を行った。この模型は、カイラル対称性の自発的破れを誘引する4体フェルミ型の有効クォーク相互作用の他に、クォーク対(半クォーク対)に強い引力的相関をもたらす有効相互作用を入れたもので、バリオンはクォーク対(ダイクォーク)とクォークの結合状態として記述される。PNJL模型で導入されたように、閉じ込め・非閉じ込め転移に伴ってポリアコフループの期待値を変化させることによって、統計平均で低温相ではカラーを持ったクォークやダイクォークの励起を抑制する効果が入るように設計された模型である。高温ではポリアコフループの期待値が1となり、このような励起が可能になる。この模型で、少量混入したバリオンが、高温でクォークとダイクォーク、更に3つのクォークに融解する過程を記述する定式化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年3月、松井は、16年在籍した東京大学大学院総合文化研究科を早期退職し、4月から放送大学の専任教授となった。また、4月20日に父が、8月1日には母が岐阜で入院したため、その看病に何度も岐阜に赴いた。母は11月に、父は半年後の本年5月にそれぞれ死去したが、新しい職場での本務もあって、研究に割ける時間に大きな制約があった。またこの研究を一緒に行っていた学生が学位をとって、海外の研究機関に移った為、共同研究の継続が難しくなり、研究をまとめることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
松井は、未完成の研究の成果を論文としてまとめる。新しい職場で、これまでのように学生を使って数値計算を行うことは難しくなったが、既に導出した方程式の数値解を自身で求め、その結果とその考察を論文に含める。また、これまでの研究で入れられていなかったバリオン間相互作用の効果を導入する拡張を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は、私事(両親の病気の看病等)により時間的に拘束されたため研究が停滞し、今年度にその進展と取りまとめを行うため、研究費を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月に原子核衝突実験を行っているCERN(欧州原子核研究機構)や関連施設を訪問し、最先端の研究情報を取得して研究のアップデートを行う。また残りの研究費は研究継続に必要な器具(ソフトや文房具)の購入に使う予定である。
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Research Products
(2 results)