2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400251
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
早田 次郎 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00222076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非等方インフレーション / ゲージ場 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙背景放射観測の進歩によって、数パーセントの観測精度に対応したインフレーションの理論的精密化が急務となっている。そのような状況のなか、申請者らは、数パーセントの非等方性を示すインフレーション(非等方インフレーション)を発見した。本研究では、非等方インフレーションにおける揺らぎの統計的非ガウス性を評価し、非等方インフレーションモデルを宇宙背景放射観測衛星PLANCKの観測データによって検証することを目的としている。今年度は、これまでアーベル型ゲージ場の場合に得られた成果を非アーベル型に拡張するための基礎研究を行った。まず、ヒッグスインフレーションにおける非アーベルゲージ場のダイナミクスを調べ、インフレーションの終了時に大きな磁場が生成されることを明らかにした。この現象は非アーベルゲージ場の場合には、一般的におこるであろうと期待され、宇宙磁場の起源にとって重要な成果であると思われる。さらに、非アーベルゲージ場がアシストするインフレーションモデルにおけるタキオン不安定性とその原始重力波への影響について研究を行い、宇宙背景放射の観測結果と矛盾すること無く、干渉計型重力波観測器やパルサータイミングによる観測によって検証可能な振幅をもったカイラルな原始重力波が生成されることを明らかにした。今後は、曲率揺らぎとの相関等、より詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画は非アーベルゲージ場の場合に生じるタキオン不安定性が、揺らぎの生成や進化にどのような影響を与えるのかを明らかにすることであった。我々は宇宙背景放射の観測と矛盾することのないモデルにおいて、タキオン不安定性による原始重力波の解析を行った。結果として、パルサータイミングで観測可能な波長領域で重力波の振幅が増大することを明らかにした。こうやって生成された重力波はパリティー不変性を破っており、基礎物理学の問題とも関連した重要な成果と考えられる。また、実際にこのパリティーを破った重力波の観測方法に関する研究も行っている。研究は順調に進行しており、今後は曲率揺らぎの解析まで含めて、より詳細な計算を進めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
原始重力波に関する計算と曲率揺らぎの計算をまとめて観測との整合性を検討する予定である。これまでの成果をもっと一般化するためには、摂動計算の系統的方法の研究を行う必要があるが、今の所、この方向の研究があまり進んでいない。非アーベルゲージ場が背景にあるときの宇宙論的摂理論の研究は今後の重点項目と考えている。さらに、非可換ゲージ場によって生成される非等方インフレーションモデルの婆にも重力波の計算を実行して行く。
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Causes of Carryover |
KEKで行われた国際会議への支出を予定していたが、招待講演となり、支出の必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議での成果発表を精力的に行うことを計画しており、その旅費に使用する。
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