2013 Fiscal Year Research-status Report
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25400253
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Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
畑 浩之 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70164837)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 弦の場の理論 / 古典解 / 多重ブレイン解 / KBc代数 / Chern-Simons理論 / 巻き付き数 / CSFT |
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| Research Abstract |
開弦の場の理論(Cubic String Field Theory=CSFT)の多重ブレイン解の構成の先行研究として、KBc代数に基づいたものがあった。本研究代表者とその共同研究者は、この解のエネルギーがK=0の特異性を起源とするものであることを指摘し、更に、K=∞をエネルギーの起源とする解の構成も行った。そこにおいてはKと(1/K)の入れ替えに対する美しい対称性(Inversion Symmetry)が重要であった。この議論におけるエネルギーは、作用から得られる正準エネルギーに相当するものであるが、CSFTにおいては、これとは別に重力子との結合で定義されるエネルギー(重力結合エネルギー)がある。K=0の特異性を持つ解に対しては、これら二つのエネルギーは同じ値を与えるが、K=∞に特性を持つ新しい解に対しては二つのエネルギーが異なることが知られていた。実際、正準エネルギーは期待される値を与えるが、重力結合エネルギーはゼロとなる。
本研究代表者は、共同研究者と共にこの矛盾の解決に取り組み、これまで重力結合エネルギーと考えられていたものは、K=∞に特異性を持つ解に対しては不十分であり、知られていなかった付加項を必要とすることを発見した。具体的には、Baba-Ishibashiによって与えられたCSFTにおける二つのエネルギーの等価性の証明を慎重に吟味し、その証明がK=∞に特性を持つ解に対しては破れていることを見出し、更に、等価性が成り立つために必要な重力結合エネルギーに対する補正を同定した。これにより、重力結合エネルギーもinversion Symmetry を持つことが示された。この研究の成果は論文として発表し、JHEPに掲載された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度における研究は、交付申請書の「研究の目的」における「ii)CSFTにおける多重Dブレイン解の完全な分類と構成法の確立」に関連したものであった。すなわち、この目的において、KBc代数の要素であるKを(1/K)に置き換える操作の下での対称性(Inversion Symmetry)は重要な役割を果たすはずであり、重力結合エネルギーがこの対称性を持たないという矛盾を解決することは、解の一般的構成法の確立のためには避けて通れない課題であるからである。
しかし、一方、本来平成25年度に実施を計画していた「CSFTの位相的構造の解明」については、数学的かつ抽象的な難しい課題であるとはいえ、ほとんど具体的な成果をあげることが出来なかった。この点においては、研究目的の達成は不十分であったと言わざるを得ない。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成26年度においては、「CSFTの位相的構造の解明」という第一の課題はとりあえずペンディングとし、より具体的なテーマであるところの「各古典解周りの弦理論の物理の解明」の課題に重点を置きたい。具体的には、これまでに構成された様々な多重ブレイン解の候補たちに対して、その周りの物理的揺らぎのスペクトラムの解析を行い、N枚のブレイン分のエネルギーを持つ古典解に対しては、確かにN^2個の物理的揺らぎの縮退があることを確認したい。このためには、古典解周りの揺らぎのモードの具体的な構成が必要であるが、それに関しては現在既に研究が進行中である。このような明確かつ具体的な問題を解決したのち、その成果を足掛かりとして、「多重ブレイン解の完全な分類と構成法の確立」や「CSFTの位相的構造の解明」といった、より難しい課題に挑戦して行きたい。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に最新鋭PCの購入を計画していたが、メーカーの発売予定が遅れたために、その購入を翌年度に先送りした。またこのため、このPCにインストールする予定であった数式処理ソフトも購入を次年度とした。この結果、かなりの助成金が翌年度に繰り越されることとなった。
本来平成25年度に購入を計画していたPC、および、それにインストールする数式処理ソフトの購入により、助成金のうち次年度繰越で増えた分は使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
