2015 Fiscal Year Research-status Report
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25400253
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
畑 浩之 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70164837)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 弦の場の理論 / 古典解 / 多重ブレイン解 / KBc代数 / CSFT / BV形式 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、前年度に引き続き、開弦の場の理論(CSFT)の多重ブレイン解の周りの揺らぎの解析を更に進めた。CSFTにおいて、複数枚のD25ブレインを表す「多重ブレイン解」が構成されてきた。これらの古典解は、KBc代数と呼ばれる数学的枠組みを用いて構成され、研究代表者達は、K空間における特異性が解を非自明にしていることを明らかにした。特に、K=0を特異点とする解の場合、それを正則化し、様々な物理量を不定性なく定義するためには、KをK_ε=K+ε (ε>0)に置き換えればよいことを示した。
平成27年度の研究は、このK_ε正則化の枠組みの中での、タキオン真空解および2ブレイン解の周りの物理的揺らぎの解析であり、平成26年度の研究を更に推し進めたものである。まず、それぞれの古典解Ψが正則化の前はpure-gaugeの形であることから、Ψをゲージ変換でゼロに持っていく。ただし、K_ε正則化のためにΨは完全にゼロはならず、見かけO(ε)の微小量となる。次に、この見かけ微小な解の周りのタキオンの揺らぎモードとして、D25ブレイン1枚を表すΨ=0という 自明な解の周りの揺らぎのモードを基本としたものをとり、これが物理的か否かのBatalin-Vilkoviski解析を行った。この結果、タキオン真空解周りのモードは非物理的であるが、2ブレイン解の周りのものは物理的である、という期待される結果を得た。なお、平成26年度の段階では、2ブレイン解の周りの物理的揺らぎの運動項の符号が逆になるという問題があったが、平成27年においては、別のより自然な揺らぎの基底を採用することで、この問題を解消した。
更に、平成27年度は、以上の得られた結果を、"BV Analysis of Tachyon Fluctuation around Multi-brane Solutions in Cubic String Field Theory"というタイトルの単名論文としてまとめ、arXivに投稿した(arXiv:1511.04187)。この論文はJHEPへの掲載が決定している。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究は、交付申請書の「研究目的」における「iii)各古典解周りの弦理論の物理の解析」に分類されるものであり、元々、平成27年度に実施を計画していたものの一部である。今回、ようやく、研究成果を論文にまとめるに至ったが、そのために平成26度から27年度にかけての2年間に及ぶ研究が必要であった。これは、多重ブレイン解周りの揺らぎの解析が、現在のところ非常に時間のかかる複雑な計算を要するからであり、研究の性格上、致し方ないものである。また、本研究計画において最重要課題と考える「多重ブレイン解周りの揺らぎの解析」の研究を優先させた結果、「pure-gauge型多重Dブレイン厳密解の系統的な構成法の確立」や「CSFTの位相的構造の解明」の課題が後回しになってしまっている。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、「CSFTの多重ブレイン解周りの揺らぎの解析」において、一定の成果を挙げることが出来た。しかし、この解析も、i)2ブレイン解の周りの物理的揺らぎに2×2=4個の縮退があることを示すまでには至っていない、ii)タキオン真空解と2ブレイン解に限れらている、という課題を残している。最終年度である平成28年度は、多重ブレイン解周りの揺らぎについて、このi)とii)の課題に取り組むと共に、「pure-gauge型多重Dブレイン厳密解の系統的な構成法の確立」や「CSFTの位相的構造の解明」の課題に対して手がかりをつかむような研究を行いたい。
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| Causes of Carryover |
H27年度は、前年度購入を先延ばしにした研究課題遂行のためのノートPCおよびデスクトップPCを購入したが、前年度に生じた次年度使用額が大きかったため、および、自ら旅費を使用して出張する機会があまりなかったために、今年度も次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
より積極的に旅費を使用することで、次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)
