2016 Fiscal Year Research-status Report
準位統計の手法による格子QCD+QEDの低エネルギー定数の決定
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25400259
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
望月 真祐 島根大学, 総合理工学研究科, 准教授 (00362913)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 格子ゲージ理論 / 有限温度 / 有限密度 / QCD相転移 / ランダム行列理論 / 行列模型 / 量子カオス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の成果を単著の専門書として大手出版社から刊行することにより、研究コミュニティ並びにより広い社会に研究を還元した。その具体的な発表内容は以下の通りである:著書「ランダム行列とゲージ理論 〈普遍性〉を通して捉える量子物理」(西垣 真祐 , SGCライブラリ127, 144 ページ, サイエンス社, 2016 年 9 月 10 日)では、(1) 本研究主題の一方の主要要素である量子カオスとランダム行列理論をその基礎から詳細に解説して数学的基盤を公開し、その上で (2) 他方の主要要素であるゲージ理論の導入・有効理論とランダム行列との等価性・ディラック固有値の準位統計への応用に関する直近の研究成果を報告した。さらに上述の等価性に関連して、(3) 量子カオスにおける周期軌道とQCDにおける南部-ゴールドストーンボゾンとの間の古典/量子対応について解説した。ランダム行列とゲージ理論を結ぶ解説書は邦文書籍としては初であり、書店レビュー等で既に高い評価を得ている。
また、山本託也氏(大学院D3)らと共同して従事している有限温度QCD、及び、2色QCD+QEDの格子ゲージシミュレーションについて、それぞれのより幅広いパラメータ空間でディラック準位統計を測定し、その成果を国内・国際の二つの研究会で報告した。その一つにおいての研究発表は主催者に高く評価され、優秀ポスター賞を授与された。その研究成果は現在、複数の論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である29年度も過去4カ年を引き継ぎ、研究計画に従って進める。
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Causes of Carryover |
現在、格子ゲージシミュレーションによるデータを集計中であるため、研究成果の論文化が若干遅れており、これを完成・学会発表するために次年度使用額を留保した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文の投稿及び英文校閲費用、及び日本物理学会での発表費用として支出する予定である。
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