2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400272
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
石田 宗之 明星大学, 理工学部, 准教授 (80366913)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | LHC / 余剰次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
Large Hadron Collider (LHC)の1st Runのデータから得られたヒッグス・ボゾンの結合定数の測定結果から、これが標準模型の予言するヒッグスであり、標準模型を超える理論が予言するスカラー粒子である可能性は低くなった。当初目論んでいた超対称標準模型の予言するヒッグス粒子である可能性も完全に否定されたわけではないが、超対称性の完全に回復するエネルギースケールが数十TeVから百TeVに上がってしまい、LHCで検証可能な超対称性の存在する可能性は低いと考えられる。そのため第二の選択肢として高次元(余剰次元)模型を考えなければならなくなった。特にArKani-Hamedらの6次元トーラス模型の検証を行った。この模型では5,6次元の2次元をコンパクト化したトーラスを考え、そのサイズを物質場の零点エネルギーで安定化させる。安定化ポテンシャルのゆらぎを考えると陽子崩壊が起こる可能性があるが、その実験的制限から逆に模型の許されるパラメタの値に制限を加えようと試みた。特に角度方向のゆらぎの場の方程式を導いたが、目立った結果は得られなかった。一方、新しい素粒子模型を構築するためには新しい理論形式が必要であると考えられる。特に重力を含む模型を考える場合、微分幾何学の言語を用いてこれを考察する必要がある。Finsler幾何学は近年素粒子論、弦理論で応用が盛んに研究されるようになってきており、これを一般化した河口幾何学は場の理論の自然な拡張になっている。これが重力を含む統一模型の新しい枠組みを提供する可能性が明らかになってきており、この可能性に注目している。成果はまだないが、引き続きこの方向で研究を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LHC稼働前に新しい素粒子模型として最も有望視された超対称標準模型が、少なくともLHCでは検証不能であるように思われ、私自身の考えでは間違いであると結論せざるを得なくなった。そのため、高次元模型構築に進まざるをえず、これについては十分な知識を持っていなかったため、基礎的な部分から文献にあたって勉強しなければならなかった。また高次元模型の研究には微分幾何学の高度な知識が不可欠であり、これも数学の勉強を基礎から行わなければならず、そのために多くの時間が費やされた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新しい素粒子模型の構築のために研究を推進していく。前年度成果があがらなかったが着実に新知識を吸収しており、成果まで後一歩であったので、今後も新しい微分幾何学の習得とその素粒子論への応用の研究に取り組んでいく。特に今年度はLHCがエネルギー13TeVで再稼働することが決まっており、最新のLHCの結果を見ながら現実に即した模型を構築していく。高次元模型でも鍵になるのはヒッグスボゾンの性質をいかに自然に説明するかにかかっている。
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