2013 Fiscal Year Research-status Report
素粒子統一理論を基礎にした様々な重力理論の解析および宇宙論的検証
Project/Area Number |
25400276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重力理論 / ダークエネルギー / インフレーション / 素粒子統一理論 / 宇宙論 |
Research Abstract |
宇宙論の標準モデルであるビッグバン宇宙論は、近年の精密観測により確かなものになってきたが、その一方で新たな謎としてダークエネルギー問題が誕生した。その解決には自然界における基本法則の根幹にも関わる発想の転換が必要と考えられる。また、ミクロ世界においてはインフレーション宇宙論などの初期宇宙像の観測的検証が注目されており、素粒子統一理論をもとにしたその基本的理解が求められている。これらミクロとマクロの両極端で謎となっている加速膨張宇宙の起源の解明には宇宙を支配する重力の本質的理解が鍵となり、一般相対性理論を超えた様々な重力理論が提案されるに至っている。本研究では、超弦理論など素粒子統一理論の立場からダークエネルギー・インフレーションなどの宇宙の未解決重要課題を重力物理学の問題として系統的に解析する。 2013年度は主に以下の研究成果を得ている。 (I)素粒子統一理論を基礎にした様々な重力理論に基づくインフレーションの解析を行っているが、近年ゲージ場とインフラトン場の結合の重要性が指摘されており、2013年度は、特に、ゲージ場のインフレーションモデルに与える影響を解析した。複数のU(1) ゲージ場またはSU(2) ゲージ場がインフラトン場と結合する場合、一様等方加速膨張時空が安定解として存在するが、初期の非等方性が大きい場合は、長期間非等方加速膨張が起こり、モデルが観測的に検証可能であることを示した。 (II)ダークエネルギー問題に関しては、2013年度は、massive gravity 理論を拡張したbigravity理論を基礎に解析した。その結果、加速膨張宇宙がアトラクターとして動的に実現されるということ、さらには第二の計量と結合する「双子物質」が我々の宇宙のダークマターとして振る舞う可能性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初のケンブリッジ行きは個人的事情で次年度に先延ばししたが、その代わりオークランド大学に研究訪問をし、共同研究をスタートした。これにより当初の計画より幅広い研究を行えると予想される。4編の学術論文、および学会講演、国際会議の招待講演など十分の研究成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調なので、当初の予定にオークランド大学との共同研究を加え、研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
同じ出張場所(オークランド)で、別用務が入り別予算から一部支出し、科研費用務は短縮したため。 上記出張計画にあった残った用務は、次年度に行う予定。
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