2014 Fiscal Year Research-status Report
素粒子統一理論を基礎にした様々な重力理論の解析および宇宙論的検証
Project/Area Number |
25400276
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
前田 恵一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70199610)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 重力理論 / ダークエネルギー / インフレーション / 素粒子統一理論 / 宇宙論 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙論の標準モデルであるビッグバン宇宙論は、近年の精密観測により確かなものになってきたが、その一方で新たな謎としてダークエネルギー問題が誕生した。その解決には自然界における基本法則の根幹にも関わる発想の転換が必要と考えられる。また、ミクロ世界においてはインフレーション宇宙論などの初期宇宙像の観測的検証が注目されており、素粒子統一理論をもとにしたその基本的理解が求められている。これらミクロとマクロの両極端で謎となっている加速膨張宇宙の起源の解明には宇宙を支配する重力の本質的理解が鍵となり、一般相対性理論を超えた様々な重力理論が提案されるに至っている。本研究では、超弦理論など素粒子統一理論の立場からダークエネルギー・インフレーションなどの宇宙の未解決重要課題を重力物理学の問題として系統的に解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は主に以下の研究成果を得ている。 (I)素粒子統一理論を基礎にした様々な重力理論に基づくインフレーションの解析を行っているが、超重力理論におけるno go theorem などde Sitter 時空のような加速膨張が理論と整合しない問題が指摘されている。2014年度は、統一理論から予想される負の宇宙項がある場合に関しても、曲率高次項のような量子補正を考慮することでde Sitter 時空がアトラクターとして実現可能であることを示した。 (II)ダークエネルギー問題に関しては、前年度に引き続き2014年度も、bigravity理論を基礎に解析した。前年度に示した第二の計量と結合する「双子物質」が我々の宇宙のダークマターとして振る舞う可能性をさらに精査し、ダークマターの3つの必要条件(銀河の回転曲線、構造形成問題、宇宙の構成要素)をすべて満たすことが出来ることを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
従来通り研究を推進するが、最終年度であるので研究完成を目指す。
|
Causes of Carryover |
次年度MARCEL GROSSMANN国際会議(ローマ)の出席の前にミラノ大学(野澤研究員)に研究訪問するための費用が必要となる予定が入ったために次年度予算として活用のため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度MARCEL GROSSMANN国際会議(ローマ)の出席の前にミラノ大学(野澤研究員)に研究訪問するための費用の一部として使用
|