2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400279
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
須佐 元 甲南大学, 理工学部, 教授 (00323262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 初代星 / 宇宙論 / 星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は主として輻射流体シミュレーションを用いて初代星の質量に迫ることを主眼としている。2013年度はこの種の3次元計算では最も積分時間の長い計算(~10万年)を行い、それを論文としてアメリカ天文学会誌に発表した(引用41件 ADS調べ)。続いて多くの宇宙論的初期条件から同種の計算を系統的に行い、初期質量関数のピークが数十太陽質量にあることを見出した。こちらも論文をアメリカ天文学会誌に発表した(引用50件 ADS調べ)。これらと並行して初代星形成環境や初代銀河形成環境(低金属量環境)で、磁場の重要性を探るために、磁場とガスの結合の強さを評価した。その結果、金属量が太陽系の100分の1程度以下になると、結合の様子が変わり、星形成時にジェットが出にくい傾向にあること、また完全に金属がない原始的環境ではViscus scale でも低密度で乱流ダイナモ機構が働く要件を満たしていることを明らかにした。これもアメリカ天文学会誌に掲載された(引用2件 ADS調べ)。もう一つ、並行して化石初代星が天の川銀河内でどの程度見つかるべきかについて研究した。その結果、現在までに行われた金属欠乏星探査で初代星が見つかっていないということから、初代星が生まれるミニハローあたり、0.8太陽質量以下の低質量初代星が10個以上生まれるというモデルはすでに棄却されていることが分かった。またミニハローあたり1個生まれるというモデルもマージナルであり、今後の観測が進むと低質量初代星の形成に関して非常に強い制限がかけられることを明らかにした。この研究は現在アメリカ天文学会誌に掲載が決定し、すでにプレプリントサーバに登録されている(eprint arXiv:1602.00465 引用1件 ADS調べ)。
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