2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船木 靖郎 独立行政法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 協力研究員 (00435679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原子核 / クラスター / α凝縮 / トリプルα反応 / ハイパー核 |
Research Abstract |
1. -9ΛBeハイパー核におけるTHSR波動関数を用いた研究- 9ΛBeにおいて、従来なされてきた微視的クラスター模型による計算結果を、クラスターのcontainer描像に基づくTHSR波動関数はその単一配位でほぼ完璧に再現することを示した。13ΛCにおいては、12C(02+)+Λ構造からなる回転バンドの他、その数MeV上に3α直線鎖状構造の回転バンドが存在することを理論的に予言した。 2. -星の中での熱的α粒子捕獲反応の研究- 星の中での12C生成反応であるトリプルα反応の低温下での反応率を虚時間発展法を用いて調べた。虚時間発展法による結果がNACREとほぼ同じ反応率を与える理由をR行列理論に基づき調べた。虚時間発展法におけるハミルトニアンにα-α、α-8Beの分離近似を施すとNACREで用いられている計算式に帰着することを解析的に示した。 3. -3α、4α直線鎖状構造状態の研究- クラスターのcontainer描像に基づくTHSR波動関数を用いて、一次元上を運動する3α、4αクラスター状態について調べた。これらは局在化クラスター構造状態の典型であるが、それらがTHSR波動関数の単一の配位で表現されることを示した。これは従来のα直線鎖状態に関する概念を覆すものであり、αクラスターによる一次元α凝縮状態と考えるべきであることを提示した。 4. -拡張されたTHSR波動関数を用いた12C、16Oの研究- 上記のクラスターによるcontainer描像に着目し、この描像を一般的に表現した微視的模型波動関数を考案し(拡張型THSR波動関数)nα問題に適用可能な計算コードを開発した。この模型を用いると従来のTHSR波動関数では不可能であった12C、16Oにおけるα+8Be, α+12C構造の記述が可能であり、現在それらの核に適用しあらゆるクラスター構造が記述可能か調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α凝縮模型の持つcontainer描像を一般的クラスター状態に応用させる研究はハイパー核、20Neのみならずα直線鎖状態についても有効であることを示したが、これは当初の予想を大きく超えた発見であり、今後クラスター構造の概念を変える可能性を大いに秘めた革新的研究テーマに発展しつつある。 トリプルα反応に適用した虚時間理論について、NACREで用いられているブライトウィグナータイプの共鳴公式に基づいた理論との関係を明確にする等、トリプルα反応における虚時間理論の理解を非常に深めることができた。今後この手法を天体核反応に応用し発展させることを大いに期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、クラスターによるcontainer描像に着目した微視的模型波動関数を考案しnα問題に適用可能な計算コードを開発しており、この計算コードをを用いて本格的に12C、16Oに適用して行きたい。昨年度特に12C共鳴状態の記述に対しこの模型が有用であることを予備計算により示したが、来年度、複素スケーリング法等適用し、02+状態の上の共鳴状態、16Oのクラスター構造の包括的記述を目指し研究を進めたい。 低温下での12C合成反応率はCDCC計算に限らずHyperspherical Harmonics+R行列等を用いた他の研究グループもそれぞれ異なる計算結果を提出している段階である。今年度はHyperspherical Harmonicsを我々の虚時間発展法と結合させ、問題点を明らかにし最終的に議論を収束させることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
海外旅費使用の際の航空券代金が予約時期により多少前後するため、当初予定より余剰分が生じた。 海外旅費使用の際の航空券代金に使用する。
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