2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400288
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船木 靖郎 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 協力研究員 (00435679)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子核クラスター / アルファ凝縮 / ハイパー核 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 拡張されたTHSR波動関数を用いた12C励起状態の研究 拡張型THSR波動関数に核半径拘束法を組み合わせ、前年度明らかにした、ホイル状態の上に存在する三番目0+状態、四番目0+状態をより詳細に議論しその性質を明らかにした。三番目0+状態は、基底状態、ホイル状態に直交した条件を加えることにより、単一のTHSR波動関数で90%以上表現されること(ホイル状態のファミリー)、四番目0+状態は3つのα粒子がガス的に直線状に配位した構造(3α直線鎖構造)を有することを示した。 2. 拡張されたTHSR波動関数を用いた16Oの研究 12C+αの閾エネルギー、16Oの基底状態を同時によりよく再現するため、核子間有効3体力を取り入れた核力を用いた、拡張型THSR波動関数による16O構造研究の計算コード開発を行った。従来のTHSR波動関数を用いた結果に比べ、より実験で観測された0+状態の再現性がよく、12C+α状態、4α凝縮状態ともによく再現された予備計算結果を得ている。 3. 拡張されたTHSR波動関数を用いた13ΛCの研究 Λ粒子が12Cにくっついた際の、12Cからの構造変化、クラスター構造について議論した。ホイル状態にΛ粒子がつくと、9ΛBe+α構造が生じ、12Cの三番目0+状態にΛ粒子がつくことにより、ホイルアナログのα+α+5ΛHeの三体クラスターガス状態が生じることを明らかにした。また直線鎖構造を持った12Cの四番目0+状態にΛ粒子がついても、そのまま3α直線鎖状態が維持されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、主に拡張型THSR波動関数を用いた、軽い核の原子核クラスター構造を探るものである。これをハイペロンであるΛ粒子を加えたものに拡張を加えることで、さらにΛ粒子がつくことによる新たなタイプのガス状態の発見をした点、また、16Oに関しては従来閾値問題により難しかった微視的クラスター模型を用いたクラスター構造研究を、大変な計算コストのかかる、三体有効核子間力を取り入れられるような並列計算コードを開発し、可能にした点から、十分に研究課題が進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の総括として、本年度明らかにした12C、及び13ΛCの励起状態の構造研究において、研究実績の概要で述べた研究成果について論文にまとめる。 及び本年度開発した16Oの計算コードを用いて、本格的な構造計算を進める。
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Causes of Carryover |
海外旅費使用の際の航空券代金が予約時期により多少前後するため、当初予定より余剰分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外旅費使用の際の航空券代金に使用する。
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