2014 Fiscal Year Research-status Report
K0稀崩壊実験の次期計画実現に向けた新素材を用いた長尺カロリメーターの基礎開発
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25400293
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉田 浩司 山形大学, 基盤教育院, 教授 (80241727)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粒子線検出器 / カロリメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は以下にあげる項目について研究をおこなった。 GEANT4によるサンドイッチカロリメーターのシミュレーション。輻射体として、新素材であるシンチレックスを使用することを想定して、実機のビームテストに必要な最小限のサイズ等を求めるための諸計算。(1) 鉛orプラスティックの厚さを変えたときの検出器奥行き方向の獲得エネルギー (2) ビームの入射角度に対する応答特性 (3) テスト検出器をコンパクトにした場合のエネルギープロファイル等。 上記の計算結果をもとに、鉛板とシンチレックスの最小サイズを決定し、テスト検出器を構成するのに最低限必要な材料を調達した。鉛については、アンチモンを4%添加し硬くした硬鉛板とした。シンチレックスについては発光特性、透過特性等についての測定をおこなった。 また次年度以降にELPHのGeV-γビームを試作機のテスト実験等に利用できるよう、そこにおける新型の光子標識化装置の開発も推進した。とくに装置の中核を構成するMWDCについては、全ワイヤーを張り終え、電気配線、ガス系配管についても概ね整備が完了した。32ch Readout boardについても設計が確定し量産に入った。平成27年度には装置を組み上げ性能評価試験をビームを用いておこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きく進展を見たのは以下の点である。 (1) 前年度手間取った数値シミュレーションのための環境構築が整い、新素材を利用した検出器のべーデザインの根拠となる数値データを蓄積していくことが可能になったこと。そのデータをもとに、テスト用検出器の概略をデザインし、その構成材料を揃えることができたこと。(2) 新素材のシンチレックスを新規に同じロットで製造でき、今後の研究に必要な量を確保することができたこと。(3) テスト用カロリメーターのビームテストが想定されている、東北大学電子光理学研究センターのGeV-γビームライン用の光子標識化装置の中核を構成するMWPCの製造がほぼ完了し、平成27年度のビームライン利用について目処が立ったこと。 一方、研究の進捗の障害となったのは、シンチレックスの製造仕様とその量産について製造メーカーとの調整が難航し、納品までに期間を要したことである。 総合的に勘案して標記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
硬鉛板及びシンチレックスを組み合わせてテスト用カロリメーターを組み上げる。と同時に、性能比較のために購入したプラスティックシンチレーター EJ-200 についても、硬鉛板と組み合わせてサンドイッチカロリメーターを構成する。(1) 放射線源に対する応答 (2) 宇宙線に対する応答 等のベンチテストをおこなった上で、平成27年度の後半には (3) 東北大学電子光理学研究センターにおいてビームテストをおこない、カロリメーターとしての総合的な評価実験をおこなう。本番用のフルサイズの検出器の性能が十分に評価できるように集光系の構造を工夫しておく。 また通常のPET樹脂同様にシンチレックスも変形が容易であることから、曲面の輻射体を有するサンドイッチカロリメーターについても、その特性を種々GEANT4シミュレーションで研究し、曲面をもつVETOカウンターの試作およびベンチテストへとつなげていく。 また東北大学電子光理学研究センターGeV-γビームライン用光子標識化装置についても、加速器のビームを用いて試験をおこなう。(MWDCのテスト実験については課題採択済み。)
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Research Products
(2 results)