2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
受川 史彦 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10312795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / ハドロン衝突実験 / 重いクォークの生成 / クォークオニウムの生成 / 強い相互作用 / LHC, Tevatron / J/psi, Upsilon |
Research Abstract |
欧州CERN研究所の陽子陽子衝突型加速器LHCとATLAS検出器を用いて,重心系エネルギー 7 - 8 TeV の陽子陽子衝突実験のデータを解析し,重いクォーク生成の研究を行った。 ATLAS 実験は,2013 年初めまでに 27 fb^-1 相当のデータを収集した。このデータを用いて,重いクォーク生成に関するさまざまな測定結果を得ている。平成25年度には,ボトムクォークとその反クォークの束縛状態(クォークオニウム)であるウプシロン粒子の生成断面積の測定,および,荷電 B 中間子の生成断面積の測定を行った。ともに重心系エネルギー 7 TeV の陽子陽子衝突事象を解析したものである。 前者は,1S,2S,3S 状態の信号を分離し,それぞれの生成断面積をこのエネルギーで初めて測定した。クォークオニウムの生成は,color single model や color evaporation model などの理論が存在するが,実験結果の記述の程度は不満足であることが長く知られており,本測定においても同様である。 後者は,荷電 B 中間子を J/psi と K 中間子への崩壊様式を用いて全再構成したもので,これまでより低い横運動領域での測定を可能とした。クォークオニウム生成の場合とは異なり,open flavor の生成においては,近年の理論予言と実験値はおおむねよく一致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ解析が進み,新たな物理結果が得られている。これまでにない高エネルギーでの素粒子反応の測定であり,重いクォークの生成機構の統一的理解に向けた進展をもたらすものである。
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Strategy for Future Research Activity |
生成断面積などの測定を,より広い運動学的変数(横運動量,ラピディティ)の領域について行う。また,理論予言との比較をより容易にするため別の終状態を用いた測定を行う。さらには,新たな情報として,これまで測定されていない物理量(クォークオニウムの偏極度など)を導出するなどする。多くの測定結果を総合し,高エネルギー・ハドロン・ハドロン衝突における重いクォーク生成についての知見を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本学では支払いベースで報告することとしており,3月中に予定通り執行したが4月の支払いとなったため,繰越金が発生したものである。 4月に支払われる予定である。
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