2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 洋 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (20374910)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 低バックグラウンド技術 / ラドン / キセノン純化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、XMASS実験における暗黒物質探索において、バックグラウンド源となる、キセノン中に含まれるラドンを超低バックグラウンドなフィルターへの吸着によって除去する技術を開発、運用することである。これによって、XMASS実験における暗黒物質探索の感度を上げることを目標とする。 平成25年度は、フィルター候補の選定を行った。フィルター候補として、本学所有の無酸素銅メッシュフィルターや、業者よりサンプル品として供給されたシリカメッシュラドンしみだし量が少ないと見積もられる活性炭を手に入れ、まずは、部材のラドンのしみだし量を本学既存のラドン検出器で行った。ラドンのしみだし量が十分少ないことを確認するのが目標であった。結果として、無酸素銅メッシュフィルターについてはラドンしみだし量が充分少ないことがわかった。シリカメッシュについては、ラドンしみだし量が多く、ラドン除去フィルターとしては不適切であることがわかった。 しかし単純な無酸素銅メッシュによるフィルターでは、キセノンからのラドン除去は難しいことが明らかである。また、活性炭についてもやはり細かい粒子の問題があり、使用には不適である。無酸素銅メッシュの改良(活性化)や、他素材の探索不可欠である。 また、フィルター循環試験のためのセットアップの設計を行った。これらを元に、ラドン検出系、フィルター系、冷却システム、モニター系を本年度に作り、キセノンによるラドン除去試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
フィルターにおいて、ラドンのしみだしが少ないこと、粉体が少ないこと、表面積が大きいといった条件をみたすものを選定するのが遅れたことが大きい。このため、平成25年度において、循環試験まで実施することができなかった。循環試験系の設計は完了していることから、本年度、循環試験を実施し、遅れを取り戻す。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、フィルターの製作を行う。1つは、無酸素銅メッシュの活性化によって、ラドン除去へ充分能力が発揮されることが期待される。また、他フィルター素材の探索も続ける。 ま選定されたフィルター部材からフィルターを製作し、キセノンガス用ラドン除去試験装置を製作し、組み込む。キセノンからのラドン除去能力が最大になるパラメータ(フィルターの種類、長さ、冷却温度、流量など)を求める。 その結果を踏まえて、液体キセノン用ラドン除去装置の設計を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、サンプル品の使用、研究室所有機器の使用により、必要経費が発生しなかった。また、必要経費発生のための機器(ラドン除去装置)の開発が遅延したことによる。 ラドン除去装置の開発、フィルター部材の購入、ラドン除去試験のランニングコストとして、次年次使用額を使用する予定である。
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