2013 Fiscal Year Research-status Report
エキゾチック分子イオンの生成による正規ミューオニュームの創生の研究
Project/Area Number |
25400299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
板橋 隆久 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (20112071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久 圭二 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (30263338)
佐藤 朗 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40362610)
坂本 英之 大阪大学, 核物理研究センター, 研究員 (70423126)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 正規ミューオニューム / 最小レプトン結合系 / 低速正負ミューオン / 微細構造 / フリクショナルクーリング / 原子分子衝突現象 / 高エネルギーガンマ線 |
Research Abstract |
ミューオンの低速化技術の開発,減速材の開発の基本的な情報の収集のために週一回の報告会を提案して実施した。国内外の研究状況は理研やJ-PARCのMLF、スイスPSI施設での先行実験があり、それらを参考にして正負ミューオンの低速、高輝度化を行うとの研究の方向性が確認された。また本研究は理論的な予測ではすでに発見されているべき正規ミューオニュームの生成が主目的であり、その物理的な意義は極めて重要であるとの認識は間違っていないこと、さらには発見されればその基礎物理学におけるインパクトが大きいことが再認識された。 高エネルギー電子ー陽電子衝突による方法(J-LABの提案)に比較検討した結果、本研究計画は、正規ミューオニュームの生成、その物理的な性質の解明などの研究を行う場合の有利さが存在することが理解された。そのための理論家との議論では、クオークの結合状態、チャーム粒子の存在やその励起状態などとの類似性なども興味ある事象であるとの指摘がなされた。またポジトロニューム、ミューオニューム、などの微細構造に関する精密実験の詳細を検討する必要性がありいくつかの研究会では関係機関の研究者との意見交換を行った。 可能性がある低速冷却方法として、電離(アイオニゼーション)冷却法,フリクショナル冷却法を検討し、前者の妥当性や技術的な問題点を検討した。フリクショナル冷却法は独マックスプランク研究所での提案や実験があるが、その効率や正負ミューオンへの適応性などの研究が十分に行われているとは言えない。したがって当初の研究計画に従って、陽子ビームを利用して、減速高輝度化への研究を発展させることとした。特にプラズマの阻止能を利用してフリクショナル冷却法の確立を目指し、そのための低速ビーム発生装置の基本設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正規ミューオニュームの生成には極めて低速且つ高輝度の粒子生成が不可欠であり減速機構の考察による新しい方法の確立を目指すこととした。多数の薄膜と加速機構ではなくブラッグピークより低速領域での減速法はいまだ確立した方法は存在しないため、物理機構のシミュレーションを含めて研究を展開する必要がある。実験では正負ミューオンのビームを利用する前にその予備的な実験として低速陽子ビームによる減速法の確立を行って、その後実際のミューオンビーム発生、利用施設(MUSIC,J-PARC MLF)での実験という2段階の研究体制をとることとし、このために、大阪大学文理融合棟での実験を今年度から開始する。実験装置の移設を含むために計画進行にはいくつかの条件が存在するがこれらはおおむね順調である、真空ポンプの運転や10GHz増幅器の電力テストなどは完了している。超薄膜、やガス中での阻止能の測定が近く実行される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
高輝度低速正負ミューオンビームの開発を重点的に行う。そのためには1)大電流の陽子ビームを10GHZECRイオン源で発生して、その低エネルギー限界を調べる。一般的に、引出電圧が低くなるとビーム強度が極端に減少するため10KeV以下でどれほどの強度が得られるかは重要な課題である。窓なしガス標的を設計製作して標的チェンバーに組み入れ、ビームの制御を実施する。半導体検出器の測定限界である10KeV程度の実験を開始する。さらにビームエネルギーの飛行時間測定の測定器を設計して10KeV以下の測定の計画を検討する。特にガス標的の圧力の制御を行って、阻止能の測定を行いSRIMなど計算結果との比較検討を行う。プラズマ標的など減速材の新たな設計を検討して試作する。そのために10GHz増幅器の出力の2分割を検討する。フリクショナル冷却のシミュレーションを段階的に検討して実験項目を整理して実行する。MUSICあるいはMLFでの実験を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の移設並びに一部改造をおこなう。真空槽の改造、架台の改造、10GHz増幅器の整備、さらに移設後の装置全体の組み立てや位置合わせなど業者に依頼している。 架台の製作費、装置の位置合わせ、電源、真空系の整備、ガス系の整備
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