2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400300
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
與曽井 優 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80183995)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 偏極HD標的 / レーザー電子光ビーム / LEPS / SPring-8 / 二重偏極観測量 / バリオン分光 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、極低温・高磁場環境中で偏極水素・重水素(HD)標的を作成し、それをSPring-8のレーザー電子光施設(LEPS)に設置してK中間子光生成反応の二重偏極観測量(ビームと標的の偏極の向きが平行な場合と反平行な場合の断面積の非対称度)を測定し、ストレンジネスを持ったバリオン共鳴状態のスペクトロスコピーを行うことを目的としている。本年度は以下の項目について研究を行った。装置の故障等もあり、目標としていた年度内のビーム照射実験までは至らなかったが、ほぼ実験可能なところまで準備は整った。 1. 標的用クライオスタット(IBC)が実験に必要な300 mKまで冷却できなくなっていた原因を究明し、それが銅パイプ中の緑青による詰まりであることを発見して不良部分を修繕した。その結果、冷却性能が回復した。 2. 前年度修理を行った、偏極標的引き抜き装置を水平から垂直に回転させるための台の駆動ギアが再度破損したため、ギアを介さずにインバータ制御のモーター直結方式に変更し、安定に駆動できるようになった。 3. HD標的セル装着条件のもとでは希釈冷凍機の冷却到達温度が高くなる原因を探るため、偏極度測定用のNMRコイルの台座を改造し、輻射による熱流入を抑える改良を行ったのち、偏極HD標的の作成を行った。残念ながら到達温度は前年度試験から改善せず、得られた偏極度も約40%であったが、現状で実験に使用可能な偏極HD標的が再現性良く製作できることを確認した。 4. 若手研究(B)(偏極HD標的製造期間最適化のための17T用周波数掃引型NMRシステムの開発:代表 太田岳史)による研究と共同でHD標的の偏極成長過程をモニターするシステムを開発し、僅かに付加されたオルソ水素の触媒効果によって偏極成長時の緩和時間は数時間であることを初めて観測した。これにより偏極凍結に必要なエイジング期間の短縮の可能性が開けた。
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Research Products
(4 results)