2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400301
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤村 寿子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90378589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 誠司 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70222289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラ水素誘導偏極法 / 核スピンイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,パラ水素誘導偏極(Para-Hydrogen Induced Polarization,PHIP)法を用いて化合物中の19F原子核を超偏極させることである.磁気共鳴イメージング(MRI)では,通常(熱平衡状態)の核偏極度より大きな偏極(超偏極)を持った原子核を造影剤にすると,感度を従来に比べて10000~100000倍も向上させることができ,これを核スピンイメージング(Nuclear Spin Imaging,NSI)法という.PHIP法を用いたNSIの研究では,パラ水素の偏極を水素化反応等により19F原子核に移すことにより超偏極化合物を生成し,MRI造影剤として利用する.常温の水素ガスはパラ水素とオルソ水素の存在比が 1:3 だが,PHIP法では用いる水素ガスがほぼ100%のパラ水素を用いることが鍵となり,パラ水素生成法の確立は,NSIの開発のなかでも基礎的なところに位置付けられる. パラ水素生成装置の開発において,生成時のパラメータ探索のために,水素ガス中のパラ水素の存在比を測定する必要がある.本年度は水素ガス中のパラ水素の存在比測定に用いるガスクロマトグラフの調整を行った.通常のガスクロマトグラフでは,カラムを常温よりも高い温度にしてガスの成分を同定・定量するが,パラ水素とオルソ水素をそれぞれ同定するためにはカラムを窒素温度程度の低温にする必要がある.最適なキャリアガスやカラムなどの選定,および温度やガス流量などのパラメータを探索した.測定したパラ水素存在比のデータを解析し,存在比を求めるための解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パラ水素生成装置の開発において,生成時のパラメータの探索のためにパラ水素の存在比測定を行う必要がある.この測定にはガスクロマトグラフを用いるが,カラムの状態,キャリアガスの圧力や流量,デュワーの温度等の調整に手間取り,測定可能な状態にするまでに時間を要してしまった.また,テスト測定したパラ水素の存在比のデータの解釈もまだ十分ではないため,パラ水素生成時のパラメータの探索までに至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
パラ水素生成のテスト実験を行い,生成時間や圧力,温度などの基礎的なデータを収集する.生成したパラ水素の存在比測定を行い,パラ水素生成時の最適なパラメータを探索する.また,水素化反応を促進する触媒についても検討する.まずは一般的な触媒(ウィルキンソン触媒など)と,通常の水素ガスを用いてテストを行う.ここで,いくつかの触媒を試し,水素化に必要な水素の圧力等を調べる.水素化反応に最適な圧力を決定し,パラ水素生成システムに変更を加え,PHIP法のための簡便なシステムを確立する.また,19F原子核の偏極度を測定するためのNMR測定装置の開発の準備を始める.
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Causes of Carryover |
パラ水素生成装置の触媒セルの設計と製作を本年度に行う予定だったが,水素化反応に最適な圧力を考慮したうえで最終的な形状を決定することにしたため,触媒セル製作の費用に相当する次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通りにパラ水素生成装置の触媒セルの形状の設計と製作のための費用とする.
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