2014 Fiscal Year Research-status Report
圧電性PZT素子を使った宇宙塵検出器の大面積化および高機能化の研究
Project/Area Number |
25400302
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 正規 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 上席研究員 (70312080)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ダスト / 圧電性PZT / 真偽選別 / 大面積化 / 高機能化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は、初年度で行った研究を発展させた。本研究は、圧電性PZT素子によるダスト検出器の高機能化と大型化を目的としている。ダスト検出器としては、大きく分けて3種類のものを考えており、それぞれのタイプの検出器の研究について実績の概要を述べる。 (1)高速微小ダスト検出器:>1km/s、数ミクロン未満の微小ダストについて、板状の圧電PZT素子に衝突したときに発生する圧電信号について、真イベントと偽イベントを簡単に選別するアルゴリズムの開発をし、HTV搭載用のデブリセンサとしてハード開発を行った。 (2)低速ダスト検出器:数m/s以下の低速のダスト(数mm以下)が、圧電性PZT素子に衝突した時に発生する圧電信号の波形を詳細に調べることによって、衝突したダストの弾性率などを推定することができ、物質の推定をすることができる。彗星表面や小惑星表面のダストの検出を想定している。その機能をさらに発展させて、そのダストの塑性変形を調べる方法の開発に着手した。基本的な設計は済み、簡易実験行い、想定通りの結果が得られた。 (3)高速ダスト検出器:>1km/s、数mm以下のダストについて、サイズが大きいと存在密度が小さく衝突頻度も小さいため大面積の検出器の開発を行った。色々な試行錯誤の結果、厚さ数ミクロンのポリイミドの表面に銅箔がはってあるフィルムの四隅に振動読み取り用の小型圧電センサーを取り付けたものが、フィルムをダストが貫通するときの微小な振動を読みとることでダスト検出をすることができることが分かった。この知見は全く新しいものである。ダスト貫通時の信号は特徴的で、今後条件を変えた実験や詳細な解析を行うことで、貫通したダストのサイズを推定することができる可能性もある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大面積化と高機能化という目標を掲げている。大面積化では、当初アルミなどの金属板を想定していた衝突媒体の代わりに、想定していなかったフィルムという媒体を使っても検出できるということが分かり、軽量で大面積の大きなサイズのダストをターゲットにした検出器の研究が進んだ。高機能化では、高速微小ダスト検出の信号の真偽選別という機能と、低速ダストの物質推定という2つの内容がある。1つ目は、前年度に研究した真偽選別のアルゴリズムを実用化するための開発として、宇宙機搭載用ハードウェアの開発を行った。宇宙機ならではの非常に限りのある重量・電力リソースの条件で実装可能な回路で真偽選別が可能であることを示すことができた。2つ目は、研究代表者が参加している欧州の彗星探査ロゼッタの着陸機フィラエに搭載されているDIMというダストセンサのアイデアを発展させた内容で、予備実験を行った。小惑星表面のダストなどは、凝集体となっている可能性があり、その様子を調べることができる可能性のある機能だと考えている。 一方、前年度から行っていた電流・電圧変換アンプを使った読み取り方式では、小型ガス銃の改良などを行ったが、センサの信号取得まではできなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)高速微小ダスト検出器:研究としては、実験結果をほぼまとめ終えているので、学術誌に論文を投稿する。 (2)低速ダスト検出器:試作した実験装置を使って、さまざまなダストサンプルのデータを取得した上で、論文をまとめて学術誌に投稿する。8月に着陸機フィラエに搭載されているDIMの研究チームの代表者が来日する予定なので、本研究で開発しているセンサについて、宇宙探査にどのようにつなげていくのか、ロゼッタでのLessons Learnedを交えて議論する予定である。 (3)大面積高速ダスト検出器:>1km/s、数mm以下のダストを検出するための銅箔フィルムを使ったセンサについて、前年度は圧電素子からの信号を読み取るためにアンプを使わず、直接オシロスコープにつないで信号を取得した。アンプを利用することで、広い帯域での信号が得られるはずなので、そのような実験を行ってデータを取得してこのタイプのダスト検出器の実用につなげていきたい。 (4)電流・電圧変換アンプを利用した信号読み出し:実験準備は整ったのでガス銃および火薬銃を利用したデータを取得する。
|
Causes of Carryover |
当初、当該年度においてドイツ・マックスプランク核物理研究所でダスト加速実験を行う予定で旅費の支出を考えていたが、ドイツ側協力者の都合(施設の不備)により実験が中止となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度で中止となった実験を次年度に予定している。施設側の状況は良好(実験可能な状況)という情報を得ており、できるだけ早い時期に実験を行う予定である。
|
Remarks |
Publicationの項に、論文などを研究成果を記している。将来的に、研究の内容などをも公表する予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
-
[Journal Article] Variation in resonant frequency of piezoelectric lead–zirconate–titanate element undergoing high-level radiation2014
Author(s)
Masanori Kobayashi, Takashi Miyachi, Seiji Takechi, Tomoaki Mitsuhashi, Yoshinori Miura, Hiromi Shibata, Nagaya Okada, Maki Hattori, Osamu Okudaira, Masayuki Fujii, Takeshi Murakami and Yukio Uchihori
-
Journal Title
Japan Journal Applied Physics
Volume: 53
Pages: 066602-1,6
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] Mercury Dust Monitor for the BepiColombo MMO2014
Author(s)
Masanori KOBAYASHI, Hiromi SHIBATA, Nogami KEN-ICHI, Masayuki FUJII, Takashi MIYACHI, Hideo OHASHI, Sho SASAKI, Takeo IWAI, Maki NAKAMURA, Hiroshi KIMURA, Takayuki HIRAI, Seiji TAKECHI, Hajime YANO, Sunao HASEGAWA, Ralf SRAMA, Eberhard GRUEN
Organizer
Asia Oceania Geosciences Society 2014
Place of Presentation
Sapporo, Hokkaido, Japan
Year and Date
2014-07-28 – 2014-08-01
-