2013 Fiscal Year Research-status Report
第一原理計算と分子動力学計算による強誘電体の焦電効果と電気熱量効果の最適化
Project/Area Number |
25400314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西松 毅 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70323095)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 強誘電体 / 分子動力学シミュレーショ ン / チタン酸バリウム / 焦電効果 / 電気熱量効果 |
Research Abstract |
本研究課題では、研究代表者の西松が独自に開発し国内外で広く使われている強誘電体薄膜キャパシタのための高速分子動力学シミュレーションプログラム feram (http://loto.sourceforge.net/feram/) を改良し、焦電効果と電気熱量効果とを直接的にシミュレートできるようにし、強誘電体の組成や強誘電体薄膜キャパシタの構造がそれらに与える影響を解明して予言できるようにし、組成や構造の最適化の方針を編み出して焦電効果によるエネルギーハーベスティングや電気熱量効果による固体冷却の高効率化に資することを目的としている。 焦電効果とは強誘電体の非常にわずかな温度変化で分極の変化が得られる効果である。電気熱量効果(electrocaloric effect)とは焦電効果の逆効果であり、例えば、強誘電体にかかっていた外部電場を切る(ゼロにする)とその強誘電体の温度が下がる効果である。 1年目の2013年度には、feramプログラムの改良により、電気熱量効果の直接的なシミュレートが可能になった。本プログラムを使ってチタン酸バリウムという強誘電体の電気熱量効果を予言した論文を発表した。本件に関して海外の招待講演1、国内の依頼講演1、招待講演1を含む多数の対外発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
feramプログラムの改良により、電気熱量効果の直接的なシミュレートが可能になった。2013年度には、ユーザからの要望などもあり、6回のバージョンアップを行った。feramプログラムは現在国内外で広く使われている。 また、その改良により当初の計画通りチタン酸バリウムの電気熱量効果の予言が可能になり、論文を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の分子動力学計算をつづけるとともに、その結果と比較しながら、ABINITコードを使った第一原理計算により、組成や強誘電体-金属電極界面構造の焦電効果・電気熱量効果への影響を探る。第一原理計算フリーソフトウエアABINITは機能が豊富で、例えば、このような計算に必須のBerry位相による分極の計算が可能である。 また、国のエネルギー政策により焦電効果と電気熱量効果とにより省エネルギーを目指すドイツとの共同研究を行う。具体的にはデュイスブルグ-エッセン大学でferamを使ったリラクサー強誘電体の電気熱量効果の共同研究を行う。
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