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2015 Fiscal Year Research-status Report

電子正孔系・セミメタル系・Dirac電子系における多体効果と光学応答の理論

Research Project

Project/Area Number 25400327
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

浅野 建一  大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10379274)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords電子正孔系 / 多軌道ハバードモデル / カゴメ格子 / フロッケ理論 / グラフェン
Outline of Annual Research Achievements

(1) カゴメ格子 Hubbard 模型
電子正孔系の物理は、多軌道 Hubbard モデルの物理と密接な関わりを持つ.この観点から多軌道 Hubbard モデルを弱結合領域から強結合領域に至るまで統一的に扱う手法の開発に力を入れている.本年度はその一例として,ハーフフィリングのカゴメ格子 Hubbard 模型を考察した.その結果,valence-bond 形成によって120度反強磁性秩序が抑制されることを正しく再現しつつ,弱結合領域から強結合領域までをカバーする結果を得ることに成功した.生じた擬ギャップの形成がこの系の Mott 転移に強い影響を与えていることが明らかとなった.
(2) 光照射下グラフェンリボンの Floquet エッジ状態
グラフェンに定常的に光を照射した系を Floquet 理論で扱うと,バンドにギャップが開き,有効的なトポロジカル絶縁体(ある種の量子ホール系)に変化することが知られている.従って,系に端がある場合にはカイラルエッジ状態が出現する.特にグラフェンリボンを考えたとき,両端のカイラルエッジ状態間の混成を無視できれば,この系は量子ホール系の新しい舞台と見なる.しかし,光によって生じるバンドギャップはとても小さく,カイラルエッジ状態の空間的広がりが大きいので,現実的な幅のグラフェンリボンが本当に量子ホール系とみなせるかどうかについて疑問が残る.そこで,光照射の強度によってカイラルエッジ状態がどのように変化するかを調べた.ここでは,これまであまり研究されていなかったアームチェア型のリボンについて調べ,kp 摂動論を用いて,ほとんど解析的にこの系を取り扱うことに成功した.光を当てていないグラフェンリボンにバンドギャップが開いているかいないかに依存して,光を当てたときのカイラルエッジ状態の生じ方が変化することが明らかになった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究テーマの幅が大きく広がったが,自己無撞着T行列近似を拡張し,バンド内光学応答を扱えるように改良する作業の進行に遅れが出てしまった.

Strategy for Future Research Activity

本年度は,多軌道 Hubbard 模型や Floquet 理論の応用など,新しい方向性を探るための研究が主になってしまったので,来年度は基幹のテーマに立ち戻り,電子正孔系の研究を中心に,以下の目標の下で研究を推進する.
(1)申請者によって改良された自己無撞着T行列近似を拡張子,バンド内光学応答(テラヘルツ分光による励起子内部遷移のスペクトル)を扱えるようにする.これまで励起子形成による遮蔽効果の抑制を半現象論的に扱っていたが,これをより第一原理的なものに改め,励起子イオン化率とバンド内光学応答の連動について考察する.
(2)ナローギャップ系や Dirac 電子系における、遮蔽効果、バンドの非放物線性、オージェ過程の影響の考察.
(3)ダイカルコゲナイドにおける励起子・荷電励起子・励起子分子の研究.
(4)二次元電子正孔系における新奇両思想の探索.
その他,時間が許せば,励起子分子相関の考慮や,南部形式による量子凝縮相の考察などにも取り組みたい.

Causes of Carryover

本年度は海外への出張が制限されてしまう業務が入ってしまい,予定していた国際会議への参加が叶わず,その分の旅費が来年度に繰越される形となった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額については当所の予定通りに用いる.本年度から繰り越された分については,物品費に当てる予定である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] グラフェンリボンにおけるフロッケエッジ状態2016

    • Author(s)
      八木梢恵,浅野建一
    • Organizer
      日本物理学会 第71回年次大会
    • Place of Presentation
      東北学院大学
    • Year and Date
      2016-03-21

URL: 

Published: 2017-01-06  

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