2016 Fiscal Year Annual Research Report
Theory on manybody effects and optical response in electron-hole, semimetal, and Dirac electron systems
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25400327
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅野 建一 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (10379274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子正孔系 / Hubbard モデル / Mott 転移 / Brinkman-Rice 機構 / Slater 機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子正孔系の物理は、多軌道 Hubbard モデルの物理と密接な関わりを持っている.この観点から、多軌道 Hubbard モデルを弱結合から強結合領域に至るまで統一的に扱える手法の開発を目指している.本年度は昨年度に引き続き、カゴメ格子上で定義されたハーフフィリングの Hubbard モデルについて考察した。この系は強い磁気的フラストレーションを示す系としても興味を持たれており、特に強結合極限に当たる反強磁性 Heisenberg モデルの基底状態が 120度ネール秩序のような単純な磁気秩序を示さないことが知られている。 我々はクラスター変分法を用いて考察を行った。その結果はクラスターのサイト数や形状に依存するが、反強磁性 Heisenberg モデルの結果を強結合極限で再現するには偶数サイトのクラスターを用いるべきことが明らかになった。また、絶対零度における Mott 転移が、これまで信じられていた Brinkman-Rice 機構(フェルミ準位上の準粒子の質量が発散する機構)ではなく、valence-bond が結晶化する非自明な秩序の形成を原動力とする Slater 機構によるものであることを明らかにした。つまり相互作用起因のバンド分裂により、セミメタルから絶縁体への転移が起きるわけである。これは電子正孔系で見られる Mott 転移と類似した現象であり、大変興味深い。 上記の物理をバンド描像ではなく実空間上の描像で見ると valence-bond の形成により一重項を組んで隣接する2サイト上に電子が局在する機構が Mott 転移において重要であることを示している。クラスターのサイズを大きくした場合には、我々が考えたものより複雑な valence-bond 結晶や、結晶が融解したスピン液体が実現する可能性もあるが、上記の機構は生き残ると予想される。
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Research Products
(2 results)