2013 Fiscal Year Research-status Report
スピン軌道相互作用の生む新しい磁性体スピントロニクス現象の微視的理論
Project/Area Number |
25400339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河野 浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10234709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピントロニクス / スピントルク / 磁壁 / Rashba型スピン軌道相互作用 / スピン移行トルク / 線形応答理論 / Gilbert damping / feedback 効果 |
Research Abstract |
電流が強磁性体の磁化に及ぼす効果(スピントルク)に対する、Rashba 型スピン軌道相互作用の効果を計算した。当初予定していた、磁化が空間的に一様な場合のみならず、磁化が空間変化している場合、すなわち、磁化の空間微分を含むトルクについても計算を行うことができた。これにより、いわゆる「スピン軌道トルク」だけでなく、「スピン移行トルク」や「ベータ項」をも含めて総合的に議論を行うことができた。その結果、Rashba 効果によりベータ項が非常に増大すること、それに駆動された磁壁の速度はスピン移行効果によるものの数十倍にもなること、が分かった。計算は、微小振幅の方法に基づいた線形応答理論で、グリーン関数法を用いてバーテックス補正の効果も考慮して行った。これらの結果は、現在論文にまとめている。他方で、ゲージ場の方法による計算は進まず、次年度の課題として残された。 また、Rashba強磁性体におけるfeedback効果、特に feedbackトルクと Gilbert damping の関係を調べた。これは、Rashba系よりも理論的取扱いが容易な2次元Dirac系の結果、すなわち、Dirac系の Gilbert damping はfeedback 効果で100% 説明できること、に着想を得たものであった。今回の計算で、Rashba系では 100% ではないが、電子の散乱時間に比例する項については、feedback効果で説明できる、という結果を得た。これに基づいた、いくつかの物理的な提案を含めて、現在論文にまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rashba系のスピントルクについては、今年度予定分の、磁化が空間的に一様な場合のみならず、次年度予定分の磁化が空間変化している場合についても計算を行うことができた。一方で、今年度の予定に入れていた、ゲージ場の方法による計算は進展しなかった。また、feedback トルクについてはある程度結論を出すことができたが、feedback conductivity については進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、Rashba系のスピントルクの結果(微小振幅の方法)を論文にまとめる作業に力を注ぐ。その後、あるいはそれと並行して、ゲージ場の方法による計算を進める。更に、feedback トルクの結果を論文にまとめる。最近、Dirac 型のみならず、Weyl型の電子系も注目を集めており、そのような系も視野に入れて進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究用パソコンの購入を予定していたが、所属の移動により機種を選定する余裕がなかった。 当初の計画通り、研究用パソコンを購入したいと考えているが、学生数が増えたことにより、論文投稿料が増えることが予想され、そちらに回すことも検討している。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Two-barrier stability that allows low power operation in current-induced domain wall motion2013
Author(s)
K.-J. Kim, R. Hiramatsu, T. Koyama, K. Ueda, Y. Yoshimura, D. Chiba, K. Kobayashi, Y. Nakatani, S. Fukami, M. Yamanouchi, H. Ohno, H. Kohno, G. Tatara and T. Ono
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4
Pages: 2011 1-6
DOI
Peer Reviewed
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