2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400344
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
多々良 源 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, チームリーダー (10271529)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 電磁交差相関 / メタマテリアル / スピン軌道相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の高度情報化社会を支えるエレクトロニクスと磁気記録とを組み合わせたデバイスは電気と磁気の間の相互交換によって動作するが、これは長い間古典電磁気学の法則を用いて実現されていた。しかしながら、最近の物質科学の発展により、物質の持つ特性を利用して電気と磁気を直接結びつける電磁気的交差相関現象が見つかってきている。その一つが電気分極と磁化の両方を持つ絶縁体のマルチフェロイクスで、近年精力的に研究が行われている。一方、金属系物質においては、スピン軌道相互作用が引き出すある種の交差相関効果がスピントロニクス分野において注目されている。例えば、スピン軌道相互作用は電流からスピン流を生み出し (スピンホール効果 )、逆にスピン流を電流に変換することも可能である(逆スピンホール効果)。最近は特に、空間反転対称性が破れている界面や表面において存在する Rashba 型スピン軌道相互作用によるスピン流-電流変換効果が特に興味を持たれている。 本年度は、電気伝導性物質において対象性の破れに伴い現われうる Rashba 型のスピン軌道相互作用により誘起される特異なスピン-電気交換特性、輸送特性及び光学的特性を理論的に解析し、金属系物質のスピン-電気交差相関現象を統一的に記述、理解することに成功した。電流やスピン、スピン流などの応答関数を場の量子論に基づき厳密に計算し、DC 極限から光の振動数領域までの電気及び磁気の交差相関応答を明らかにした。またそれらの相関関数から誘電率、透磁率、さらに交差相関を表す係数を同定し、それに基づき電磁波の分数関係を解析、円偏光の挙動や方向二色性などの特性、また電磁メタマテリアルとしてのふるまいなどを明らかにした。
|
Research Products
(16 results)