2014 Fiscal Year Research-status Report
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25400353
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 和多加 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00361197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金属水素化合物 / 第一原理計算 / 超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素化合物においては、水素の質量が小さいため、原子核零点振動の影響が無視できない。高密度水素に関していうと、零点エネルギーは陽子一個当り0.2~0.3 eVと見積もられている。構造間のエネルギー差が一原子当り0.01 eVのオーダーであることを考えると、この値はかなり大きい。そして零点エネルギーが大きいことは、低温でも原子振動の振幅が大きく、非調和性が重要になることを意味している。この非調和零点振動の問題に対し、平成26年度はself-consistent harmonic 近似 (SCHA) によるアプローチを進めた。手続きとしては、まず原子間有効二体ポテンシャルを第一原理計算に基づいて作成し、そのポテンシャルの下でSCHAを実行している。高密度水素に対して適用した結果、SCHAにより計算された非調和性は、零点エネルギーを一原子当り0.01eVのオーダーで低下させることが分った。またこの低下は分子相で特に大きく、即ち、非調和効果により分子解離圧が上昇する傾向があることも確認している。 一方、水素化合物における新たな金属相の探索も実行した。Goldhammer-Herzfeldの条件によると、分極率の大きい分子ほど低圧での金属化が期待できる。ところで、重元素の水素化合物には相分離に対して不安定なものが多いが、この不安定性は分極率の大きさにもつながっている。つまり不安定ではあるが、圧力誘起金属化しやすい物質と捉えることができる。この指針をもとに重元素水素化合物への圧力効果を調べたところ、予測どおり低圧で金属化しやすく、また圧力をかけることで組成変化が起き、化合物状態が安定化される傾向があるとの結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオンの非調和ダイナミクスを扱かう手段として、self-consistent harmonic 近似遂行用のコードを開発し、高密度水素への応用が実施できた。また広範囲の構造探索により、重元素水素化合物における高圧での組成変化及び金属化の可能性を見つけ出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Self-consistent harmonic 近似を適用することにより、イオン振動の非調和性も考慮した上で、金属水素化合物の候補を提案する。また、得られた候補に対して超伝導転移温度を計算し、高温超伝導体としての可能性を探る。
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Research Products
(1 results)