2013 Fiscal Year Research-status Report
ミリケルビン級超低温で発現する圧力誘起量子相転移と臨界現象
Project/Area Number |
25400363
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大橋 政司 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (10336000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピングラス相 / 量子相転移 |
Research Abstract |
物質は温度を下げて熱振動を抑える、圧力負荷によって格子振動を抑える事等により、気体から液体、そして固体へと転移する。一方、結晶固体において物性の主役を担うのは、スピンを持ちながら原子核周辺に局在、もしくは物質中を自由に遍歴する電子である。その電子もエネルギースケールが低い超低温では、エントロピー極小の何らかの基底状態に落ち着く。希土類強相関電子系物質では磁気交換相互作用(TRKKY) と近藤効果(TK)が競合しており、磁気交換相互作用Jcとフェルミ面の状態密度Dc(εf)の積(JcfDc(εf))によってハミルトニアンが決まる。即ち絶対零度で安定な寄与が系の基底状態(反強磁性,フェルミ液体等)を決める。このような電子系において、圧力や磁場等の外場を負荷する事により2つの相互作用を拮抗させ、ついには基底状態が逆転する相転移を起こすことが出来る。通常の、温度変化によって起こる相転移と違い、絶対零度でも起こる点が特徴的である。系の持つ量子性が臨界点(Quantum Critical Point, QCP)で重要な役割を果たす事から量子相転移(Quantum Phase Transition, QPT)と呼ばれる。QCPでは量子ゆらぎにより電子の有効質量発散が予想されるが、これは熱力学第3法則に反する。一方実験的にはQCP近傍でunconvensionalな超伝導が発現する事例が数多く、この現象は高温超電導発現機構解明の手がかりになるとも言われている。本研究は超低温・超高圧下の実験的研究を通し、QPT発現機構の解明、およびQCP近傍の現象(量子臨界現象)を理解する事を目標としている。本研究では反強磁性・強磁性転移を示す(Ce1-x Erx)Al2を対象として組成誘起QPTの探索を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界的なヘリウムガス供給不足の影響で低温実験に大きな制約が出来てしまったため、25年度は予定を変更して純良試料育成に特化した研究を行った。その過程に置いて組成誘起の相転移を起こす物質を発見した。これは超低温下圧力誘起相転移の比較対象として、最終年度に置いて行う予定の研究であり、順序が当初の予定とは逆になってしまったが研究目的達成のためには必要な研究成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は低温下で10万気圧以上発生可能な高圧発生装置の設計•制作を行う。ヘリウムガス供給不足は未だ解消していないためミリケルビン級超低温下での測定が難しい局面も考えられるが、その場合は0.5K程度までの極低温下において、当初予定より高い圧力下、すなわち10万気圧以上の超高圧下測定を行う事により、本研究達成に必要なデータ取得を目指す。
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