2014 Fiscal Year Research-status Report
磁場中熱伝導度による擬一次元有機超伝導体(DMET)2I3のギャップ構造の解明
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25400380
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| Research Institution | Osaka City University |
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Principal Investigator |
吉野 治一 大阪市立大学, 理学研究科, 准教授 (60295681)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 擬一次元伝導体 / 有機超伝導体 / 超伝導発現機構 / 磁場中熱伝導度 / 希釈冷凍機 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2年目に当たるH26年度は，1)微小で脆い擬一次元有機伝導体の熱伝導度の測定法の改良および，2)低温磁場中で熱伝導度測定用試料ホルダーを回転させるための機構の開発を行った．
1)については，H25年度に微小抵抗体を温度計として利用した定常絶対法に基づいた測定試料を作成していたが，測定対象である擬一次元有機超伝導体(DMET)2I3や(DMET)2AuI2の結晶に加わるストレスが予想以上に大きく，室温から4.2 Kまで冷却する間に，試料が割れて測定ができなくなる事例が多発した．そこでH26年度には，熱電対を利用した定常比較法による試料ホルダーを用いて，比較的ストレスの小さい環境で測定を試みた．その結果，(DMET)2I3については，ひび割れの影響は皆無でないものの，4.2 Kまでの測定に成功した．(DMET)2AuI2についてはさらに良好な結果が得られ，70 Kや25 Kに熱伝導度の特徴的な異常を見いだすことができた．これら異常を含めて，(DMET)2AuI2の熱伝導度の温度依存性は，結晶を副格子に分けたモデルに基づき，2つの独立な格子熱伝導を仮定することで，よく説明できることを明らかにした．
2)については，エゾ素子を用いた回転機構の製作を行った．ピエゾ素子の駆動回路の製作を文献に基づいて行って試験したが，文献の回路では駆動に必要な電圧が得られないことがわかった．この問題を解決するため，回路の修正を模索しほぼ駆動可能な電圧を得ることができた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
希釈冷凍機中で熱伝導度測定用の試料ホルダーを回転させる機構の開発が遅れた．特に参考とした文献の回路図に問題があり，ピエゾ素子を駆動するのに必要な電圧が発生しないことが原因である．この問題を解決するための回路変更に時間がかかった．
さらに，所属機関の液体ヘリウム液化装置が故障し，液体ヘリウムの供給が止まってしまうという深刻な事態も生じた．
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| Strategy for Future Research Activity |
ヘリウム液化器はH27年度後半に復旧の見込みである．それまでに試料ホルダーの回転機構を完成させ，後半で0.5 K以下での熱伝導度測定を行う予定である．
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| Causes of Carryover |
研究成果を発表した論文(J. Phys. Soc. Jpn. 84, 054601 (2015))の掲載決定が年度末になり，執行時期が不明確であったため，予測される請求金額に加えて，ゆとりをもった額を未執行のまま繰り越した．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該論文の掲載が決まったので，その掲載料の支払いに用いる．また，現在執筆中の論文の掲載料にも使用する予定である．
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