2016 Fiscal Year Annual Research Report
Phase Transition with an Ergodicity Breaking in Lattice Glass Models
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25400387
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 志剛 神奈川大学, 工学部, 准教授 (80400282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガラス / エルゴード性の破れ / 非平衡ダイナミクス / エイジング / 位相空間分割転移 / レプリカ対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
ランダムグラフ上のBiroli-Mezard(BM)格子ガラスモデルに対し、外場とそれに応答する物理量を導入し、外場応答のエイジング現象に関する研究を行った。その結果、スピングラスの磁場中冷却磁化に相当する物理量が、化学ポテンシャルが高い(低温に相当する)領域でほぼ一定になる等、スピングラスの実験と類似の結果が得られた。また、磁場中冷却磁化に相当する物理量を測定中に、化学ポテンシャルの増加を一時的にストップし、磁化に相当する物理量を経過時間の関数として測定したところ、その物理量が時間に対して非単調に変化する振る舞いが観測された。これと類似の実験結果もスピングラスにおいて観測されている。
また、外場とそれに応答する物理量を導入したBMモデルにおいて、レプリカ交換法を用いた平衡シミュレーションを行い、オーバーラップqの分布関数P(q)の測定を行った。その結果、外場を徐々に強くしていくと、レプリカ対称性の破れ方が1-stepからfull-stepへ変化する振る舞いが観測された。温度変化によりレプリカ対称性の破れ方が変わる例はスピングラス等においてこれまでに幾つか報告されているが、外場変化によりレプリカ対称性の破れ方が変わる例はこれまでに報告例がなく、非常に興味深い結果であると言える。さらに、外場がゼロの状態とゼロでない状態からオーバーラップを計算し、その分布関数P(q)を測定したところ、磁場がある程度強い場合、P(q)がq=0にのみピークを持つ振る舞いが観測された。この結果は、このモデルがいわゆる磁場カオスの性質を持つことを強く示唆している。
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Research Products
(3 results)