2015 Fiscal Year Annual Research Report
複雑系の動的相関構造:ランダム行列理論とヒルベルト変換の融合
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25400393
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
家富 洋 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20168090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 亘 日本大学, 理工学部, 准教授 (50395117)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 主成分分析 / ヒルベルト変換 / ランダム行列理論 / 時系列 / 多変量解析 / 株式市場 / 相互相関 / リード・ラグ関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で発展させた複素ヒルベルト主成分分析(CHPCA)法を国内物価データ(消費者物価,企業物価,輸入物価),国際金融データ(各国の市場インデックス,貨幣価値),米国の総合金融市場データ(株価,投資信託,リート)などへ具体的に適用することによって,それら金融・経済諸量間の動的相関構造を明らかにした。特筆すべき発見は,個別物価間に普遍的な集団運動が存在することである。物価間の相互作用がそのような物価の集団的振る舞いを生んでいると推定される。また,物価の集団運動の駆動要因には,為替主導型と需要主導型の2つのモードがあることを明らかにした。 合わせて,先行,一致,遅行の特性をもつことが確立されている景気動向指数の基礎指標データに対してCHPCAを適用することにより,CHPCAの有効性を確認した。CHPCAは,リード・ラグ関係を含めて各基礎指標の集団運動(景気循環)に対する寄与について定量的な知見を与える。CHPCAに従えば,必ずしも現在採用されている基礎指標がタイムラグについて明確にグループ分けされているわけではない。基礎指標は定期的に見直しが行われており,基礎指標の取捨選択に対してCHPCAを役立てることを提案した。 CHPCAは多変量時系列データに含まれる動的相関構造を検出する手法として今後幅広い分野で利用されると期待される。また,多数の自由度が少数の自由度に縮約されることにより,数理モデルの構築が容易になるという効用もある。
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Research Products
(21 results)