2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25400394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 政行 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (00266925)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線形局在励起 / 過飽和非線形性 / ソリトン |
Research Abstract |
一般の非線形格子中での局在励起については、制御の面から走行性をいかに獲得するかという課題がある。Hadzievskiらは2004年に過飽和非線形性を用いるとパイエルス・ナバロ(PN)バリアーと呼ばれる走行の障壁をゼロにできることを示した。(PRL93, 033901)我々はMOSキャパシターを過飽和非線形素子として用い、確かにPN障壁がある条件でゼロになることを確かめ、これを論文にまとめた。(Shi et al., EPL103, 30006 pp.1-6 (2013))これには少し前に発表した我々の論文M. Sato et al., PRE87, 012920(2013)での非線形状態の線形分光のテクニックが応用されている。このEPLでの発表は、線形分光法が分岐現象研究で有用であることを示したと考えている。走行に関しては、PNバリアーが実際にゼロになることを実験で初めて示したことに大きな意義がある。実験で観測されたヒステリシスの原因究明は次の課題でる。 自然結晶も大規模格子であり、NaI中に非線形局在励起が中性子非弾性散乱により観測されたという報告が2009年にManleyらによってなされた。(PRB79, 134304)我々は、この報告中の散乱強度が、非線形局在励起の生成エネルギーから見積もられる発生頻度からみて大きすぎることを論文で指摘している。(Sievers et al., PRB88, 104305 (2013))
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Shi et al., EPL103, 30006 pp.1-6 (2013)での発表は、線形分光法が分岐現象研究で有用であることを示した点、PNバリアーが過飽和非線形性により実際にゼロになることを実験で初めて示した点に大きな意義がある。 Sievers et al., PRB88, 104305 (2013)で発表した内容は、自然格子系では非線形局在励起の検出は難しいことを示している。2014年になって別のグループから中性子散乱の報告がなされた(Kempa et al., PPRB89, 054308(2014))が Manleyらが報告した局在の証拠はみられていない。これは我々の計算が正しいことを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
MOSキャパシターを過飽和非線形素子として用いる実験では、未解決のヒステリシスの原因を究明し、これが実験系において走行の妨げになるのか、また解決方法はあるのか、探る必要がある。 もっと基本的な、なぜソリトン系でない非線形格子では走行しずらいのか、という疑問がある。駆動散逸系では、ソリトン系ではなくとも走行がある程度可能であることは実験やシミュレーションですでに示した。これにより、走行のしやすさを異なったモデルでテストすることができる。現在まで、その原因は線形ノーマルモードとの相互作用が原因であることがわかった。その解決方法も目途がつきつつある。これについて発表する予定である。 これを踏まえて、実験系でも走行モードについて研究すべく、大規模格子系を作成中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
部品の値段に微妙な違いがありました。 物品費に組み入れて、電気部品または光学部品の購入に充てます。
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