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2015 Fiscal Year Research-status Report

閉領域内の乱流に生じる大規模循環流の反転機構の解明

Research Project

Project/Area Number 25400400
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

松本 剛  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20346076)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords乱流理論 / 大規模流れ / 確率論的モデリング
Outline of Annual Research Achievements

閉じた容器内の流体を乱流状態に維持すると、条件によっては乱れのなかに容器程度のひろがりをもつ大規模な循環的な流れができることが知られている。また、このような場合に、長時間維持されていた大規模循環流れの向きが急に反転することがある。例えば、地球磁場の反転は、地球内部の伝導性流体の乱流が大規模流れの向き、あるいは何らかの秩序、が反転することの結果として理解できるかもしれない。本研究の目的はこうした反転の仕組みを流体力学的、力学系的に明らかにすることである。このために、反転をおこす最も簡単な乱流系として知られている、2次元正方形領域内でランダムな力で混合されている2次元乱流の高精度な数値シミュレーションを行ってきた。
この2次元系での反転の指標は流体の運動エネルギーで規格化された角運動量である。今年度はこの運動エネルギー、角運動量といった積分量の収支式を確率過程としてモデル化をおこなった。この系の流れにはランダム力が印加されているため、収支式そのものが確率過程となっている。ここでは、積分量を表現する秩序変数を導入し、この秩序変数の確率過程として、2次元系の反転、非反転をよく再現するモデルをつくることができた。この結果から反転を、2つの安定状態とその間の転移として記述できることがわかった(パラメータによっては安定状態は1つだけになる)。また、この確率過程の脱出時間などの表現から反転時間間隔についても有用な示唆が得られた。他方で、この系の乱流を維持するための力をランダムなものから決定論的なものに変更した場合に、安定な時間周期解が得られた。この周期解は反転しないが、双安定系の片方の安定解に対応するものと考えられる。粘性を小さくすると、この周期解は不安定化して乱流的になっていくことが数値シミュレーションから明らかになった。両外力の結果を統合するシナリオ作りが残された課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本課題での目的は、2次元正方形領域内でランダムな力で混合されている2次元乱流系の大規模流反転の機構を流体力学的、力学系的に明らかにすることである。力学系的とは相空間上での解の軌道の振舞いとして反転を記述することである。この力学系的アプローチは、特に乱流遷移の分野で現在までに大きな成功をおさめている。しかし、本課題の2次元乱流系にはランダム外力があるため、その枠組みを直接適用できないことに難しさとそれ故のやり甲斐がある。そこで、この2次元乱流系の特異的な特徴を利用して、積分量の収支式を秩序変数の確率過程としてモデルした。その結果、この系をランダム力学系としてとらえることで一定の記述には成功した。
この一方で、この2次元乱流系が考案されるきっかけとなった実験室実験では、決定論的外力とされる場合に大規模流の反転が生じている。ただし、レイノルズ数はランダム系と比べてひと桁以上大きい。決定論的外力の場合に反転が生じれば、決定論的力学系の描像を用いることができる。この可能性を検証するため、決定論的外力をもちいてレイノルズ数のやや大きい数値シミュレーションを行った。結果として、時間周期解など、反転にはいたらないものの深い洞察につながる数値解が得られつつある。しかし、レイノルズ数を大きくして長時間のシミュレーションを行うには時間が必要である。また、ランダム外力の結果と決定論的外力の結果の統合を行う必要が出てきた。

Strategy for Future Research Activity

決定論的外力の系では、可能な限りレイノルズ数を大きくして反転が生じるか否かを検証する。この時に、反転時間間隔の期待値はランダム外力系の知見を応用することでむやみに長時間のシミュレーションをしない工夫をおこなう。また、決定論的外力系に微小なランダム力を印加する系を数値シミュレーションすることで、純なランダム外力系と決定論的外力系との橋渡しを試みて、両外力系で得られた結果の統合をめざす。

Causes of Carryover

本課題では、最終年度に国際学会での成果発表を予定していた。国際学会への申し込みは通常1年から8ヶ月前に締め切られるが、2014年度中頃の段階では試験的な成果は得られていたものの、その確認などに時間が必要だったため、2015年度中に開催される学会への講演申し込みをおこなうことができなかった。このため、期間を延長して今年度(2016年度)に開催される国際学会で成果を発表する。

Expenditure Plan for Carryover Budget

国際学会に参加するための参加費と旅費として使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 2015

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Mean-flow reversals in a two-dimensional randomly forced flow in a square domain2016

    • Author(s)
      Takeshi Matsumoto
    • Organizer
      24th International Congress of Theoretical and Applied Mechanics
    • Place of Presentation
      Palais de Congre, Montreal, Canada
    • Year and Date
      2016-08-21 – 2016-08-26
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 閉領域ランダム強制乱流の大規模流反転の確率的機構II2016

    • Author(s)
      松本剛
    • Organizer
      日本物理学会 年次大会
    • Place of Presentation
      東北学院大
    • Year and Date
      2016-03-22
  • [Presentation] 閉領域ランダム強制乱流の大規模流反転の確率的機構2015

    • Author(s)
      松本剛
    • Organizer
      日本物理学会 秋季大会
    • Place of Presentation
      関西大学千里山キャンパス
    • Year and Date
      2015-09-18

URL: 

Published: 2017-01-06  

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