2015 Fiscal Year Research-status Report
DMRGの代替としての量子版ノボトニー法の開発ーデコンファイン臨界性の解明ー
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25400402
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 由弘 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60294401)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨界現象 / 量子スピン系 / 量子磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンS=1の二次元量子スピン系を、本研究補助により開発したノボトニーの方法で数値シミュレーションした。当該量子スピン系は、「3スピン」相互作用を持っている。よって、その他の方法、殊に、量子モンテカルロ法では、いわゆる不符号問題により、取り扱いが難しいことで知られている。この模型は、一次元では、スピン液体状態とよばれる「量子力学により磁性が破壊された無秩序相」が現れることがよくしられている。本研究では、二次元でもスピン液体状態が現れることを明らかにした。この模型は人工的な模型であるが、このような顕著な量子状態を、かなり、安定に実現できるようなので、基礎論的な研究対象として提案したい。 加えて、このスピン液体状態から、秩序相への相転移を研究した。ここで、秩序相とはスピンネマティック相である。これら両相とも、大変、本研究手法との相性がよい。注目すべきは、この相転移がかなり顕著な臨界現象、すなわち脱閉じ込め転移をしめすと言われている点である。すなわち、これら極めて量子性の顕著に出ている相では、スピンのゲージ自由度、すなわち、スピンの軸周りの自由度が、生き返って、従来のファイ4乗模型というよりは、CP1(複素1次元射影空間)模型に従うと考えられている。実際、我々の数値計算結果は、こういった新しい臨界現象が実現されていることを示唆している。すなわち、大きめの相関長臨界指数を示すようである。このCP1模型は素粒子論で、いわゆる純粋ゲージ理論の模型なので、素粒子論へ越境した分野での発展を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究補助を受け、これまでは、準備的作業に従事してきた。すなわち、量子性の乏しいイジング模型を調べてきた。本年度で、ついに、量子性が顕著に現れる模型を取り扱うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コンピューターの性能の向上はめざましい。とくに近年では、フラッシュメモリーの高速メモリーを、ビデオカードのインターフェイスに取り付けることができるようになっている。 これにより大規模計算、具体的には、数百Gバイト級の計算が、手軽にできるようになっている。まさに、研究計画の筋書きにのって、以後の計算を模索、推進してゆく。
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Research Products
(2 results)