2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25400407
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
田崎 晴明 学習院大学, 理学部, 教授 (50207015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 彰則 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80274512)
桂 法称 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80534594)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 数理物理 / 磁気秩序 / 金属強磁性 / トポロジカル相 / 正弦 2 乗変形 / エンタングルメントエントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
田中と田崎はある種のハバード模型における金属強磁性の出現について強い結果を得て、学会講演および論文で公表した。これは本研究計画での最も重要な成果の一つなのでやや詳しく述べる。同じ電子が強磁性と伝導の双方に寄与する金属強磁性は、強く相互作用する遍歴電子系の代表的な現象の一つである。金属強磁性についての既存の最も強い結果(田中・田崎, 2007)では基底状態での電子は複数のバンドを占めており、物理的メカニズムという観点からはやや人工的だという欠点があった。今回の結果は電子が最下端の唯一のバンドを占める状況での金属強磁性の発現を厳密に示したものであり、金属強磁性の厳密な例としては、これまででもっとも進んだ結果といえる。また、数理的観点からも、基底状態をあらわに求めずに基底状態での金属強磁性の存在が示されたことは本質的進歩である。ただし、今回の結果では無限体積極限でホール濃度がゼロになる場合しか扱えない。この成果を一里塚として、数理としても物理としてもより進んだ結果を模索する必要がある。 また、田崎は、平衡統計力学の基礎付けに典型性と大偏差の立場からアプローチする研究を完成させ大部の論文を出版し、さらに、一般的な量子系を舞台にした熱力学第二法則の証明を発表した。これらの研究は強磁性の問題と直接の関係はないが、大自由度の量子力学的な系についての知見が随所に活かされている。特に多体フェルミオン系や格子上の量子多体系といった具体例での解析が重要な役割を果たした。 より広い意味での量子多体系への貢献として、桂は、相互作用のあるキタエフ模型のトポロジカル相での厳密な基底状態を求めマヨラナ演算子の具体系を定める研究、一次元自由フェルミオン系での正弦2乗変形の超対称性量子力学による解析などを手がけ、田崎は青木らと共著で格子ゲージ理論のエタングルメントエントロピーを再吟味して定式化する研究を行なった。
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Research Products
(23 results)