2013 Fiscal Year Research-status Report
光格子中の冷却原子気体における新奇超流動現象の研究
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25400419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
二国 徹郎 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50360160)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 冷却原子気体 / スピン自由度 / 励起スペクトル / 量子相転移 / 光格子 |
Research Abstract |
1. スピン-1内部自由度を持つBose気体の光格子中研究: 超流動-絶縁体相転移近傍における基底状態および励起スペクトルを,Gutzwiller 近似と呼ばれる平均場近似を用いて解析した。基底状態では絶縁体相と超流動相の両方において内部自由度に起因した多様な量子相が表れる。得に絶縁体相では,格子点あたりの平均粒子数(フィリング)が偶数であるか奇数であるかによって性質が極めて異なる状態が表れる。励起スペクトルも基底状態を反映した様々な分散が表れることを見出した。したがって励起スペクトルを調べることが量子相の探索において有効であることを示した。この系の励起スペクトルを計算した結果,絶縁体相に励起スペクトルにもフィリングの偶奇による違いが顕著に表れることを発見した。また,超流動-絶縁体量子相転移における励起スペクトルの変化を明らかにした。 2. 光格子中のFermi超流動気体の研究: 籠目格子中において有限の超流動流が存在する場合には空間的変調を伴う超流動状態が出現することを発見した。また,蜂の巣格子中では集団励起にギャップを伴う「ヒッグス」モードが表れ,実験的にも十分に観測可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように光格子中のBose気体およびFermi気体についてそれぞれ研究成果を得ている。これらの成果については学会で発表し,論文として欧文誌に出版した。以上より研究はおおむね順調に進展したと自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 内部自由度を持つBose気体の光格子中研究: (a)初年度の研究で得られた光格子中Bose気体における様々な量子相における動的性質を、時間依存 Gutzwiiler 近似等 の手法を用いて調べる。外場に対する動的応答関数(動的構造因子)を線形応答理論により 計算し,前年度で得られた励起スペクトルの実験的な観測可能性について定量的に検証する。動的構造因子は Bragg 散乱などの手法によって実験的にも測定可能であり,重要な物理量である。多成分 Bose 気体においてヒッグスモードがど のような実験手段により観測可能であるかを理論的に検証する。 (b) 有限の超流動流が存在する場合における超流動状態の動的安定性を調べる。励起スペクトルの解析から超流動状態がどのような素励起によって不安定化するかについて調べる。 次に非平衡状態について時間発展方程式を解くことによって実際に超流動状態がどのよう に崩壊していくかをシミュレートする。 2. 光格子中のFermi原子気体における動的性質 (a) 近年、Fermi超流動気体においてs波散乱長をFeshbach共鳴で時間変化させることにより 超流動秩序変数を直接的に観測する方法が提案されている。この手法の有効性を検証するために,時間依存 Bogoliubov-de Genne 方程式を用いてFermi超流動気体の動的シミュレーションを行う。特に、この手法による光格子中の Fermi 超流動気体におけるヒッグスモード の観測可能性について検証する。 (b) 有限な超流動流のもとでの光格子中 Fermi 気体の超流動状態の安定性について研究する。 時間依存Bogoliubov-de Genne 方程式を用いる事により,超流動状態の崩壊や空間変調を伴う非一様な超流動状態の動的形成をシミュレートする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最後に購入した書籍の価格が予算残高をわずかにオーバーしていたため,別の経費で支払いを行った。 次年度使用額は少額であるので,消耗品費に充てる。
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Research Products
(9 results)