2013 Fiscal Year Research-status Report
動的地震破壊の包括的理解―破砕、摩擦発熱、熱・流体拡散、脱水反応に焦点をあてて
Project/Area Number |
25400440
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (10114696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀 伸樹 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90304724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 震源破壊 / 脱水反応 / 摩擦発熱 / 破砕 / 断層 |
Research Abstract |
実効法線応力という概念をとおして、流体は地震破壊に強い影響を与える。本研究では、h破砕、摩擦発熱、熱・流体拡散、脱水反応に焦点をあて、流体が地震破壊の多様性発現にどのような効果を及ぼすかということを解析的・数値的に考察する。ただし、この問題においては、関与する変数が多いため、問題の理解のためには、系の数学的構造についての基本的理解が、不可欠となる。そのため、まずは、脱水反応が無く、破砕・流体拡散・摩擦発熱による間隙水圧変化のみを考慮に入れた一次元系についての詳細な数学的解析を行った。脱水反応の効果をモデルに組み入れる際、この成果を参照して、脱水反応の効果を見積もることができる。この研究成果は、Journal of Geophysical Researchに掲載済みである。成果の概要は、下記のとおりである。まずは、系の振る舞いを決定する無次元パラメタを求めた。初期条件が与えられれば、非弾性空隙の上限値に関係したパラメタTa、空隙生成に関するパラメタSuおよび流体拡散速度に関するパラメタSu’の三つが系の定性的振る舞いを完全に決めるということがわかった。さらに、これらのパラメタ値の変化により系の振る舞いに定性的多様性が現れることがわかった。例えば、TaとSuを変化させることにより、二つの定性的に異なる高速地震の起こり方を説明できる。その一つは、滑りの開始直後のわずかな減速後、時間とともに加速する解であるが、もう一つは、滑りが自然停止するという解である。この二つの解が存在する範囲を無次元パラメタ空間(Ta,Su)の中に決定することができた。なお、線形弾性論に基づく古典的解析では、1次元系では、滑りが自然停止するという解は存在しない。TaとSuについて比較的大きな値を仮定し、Su’に関して正の値を仮定すれば、スロー地震のモデル化も可能となるということもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脱水反応の効果を見積もるために、その効果を仮定しない場合の1次元解析については、すでに論文として公表済みである。支配方程式系に脱水反応の組み込みはすでに完成し、1次元数値解析については、ほぼ終了し、日本地震学会2013年秋季大会やアメリカ地球物理学連合2013年秋季大会で発表し、論文原稿の最終稿を共著者と議論の上で、まとめつつある。遅くとも2014年5月には投稿の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
空隙生成、摩擦発熱、流体拡散、脱水反応を考慮に入れた、断層滑りの1次元解析については、上記(11)で述べたとおり遅くとも2014年5月には論文として投稿予定である。その後は、問題を2次元系に拡張し、より現実的な取扱いを行う。1次元系では、必然的に流体の流れは断層に直交方向のものを仮定せざるをえなかったが、2次元系の解析においては、露頭断層の観察などから指摘されている透水率の異方性を考慮に入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年度に投稿予定の論文について、投稿や掲載が早まる可能性をも考慮に入れて、予算を計上していた。そのため、次年度使用額が生じた。 2014年度の論文投稿・掲載費用として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)