2014 Fiscal Year Research-status Report
動的地震破壊の包括的理解―破砕、摩擦発熱、熱・流体拡散、脱水反応に焦点をあてて
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25400440
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (10114696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀 伸樹 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90304724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地震 / スロースリップ / 脱水反応 / 流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
西南日本やアメリカ北西部などの暖かい沈み込み帯下部で発生するスロースリップの震源は、高流体圧下にあると考えられており、しかも各種鉱物が脱水反応を起こす場所と対応している。そのため、脱水反応がスロースリップ発生に関与しているのではないかと疑われている。前年度の研究で得られた知見を生かして、1次元系での脱水反応とスロースリップ発生の関係を定量的にモデル化した。なお、前年度の研究と同様に無次元量に基づいて現象の理解を試みた。比較的低温の700度Kで脱水が開始する場合と、高温の900度Kで脱水を開始する場合の二つの場合を想定し、antigorite、lawsoniteやchloriteなどの脱水を仮定した。すべりによる空隙生成に関するパラメタSuがある閾値より大きいということが、持続的なゆっくり滑りが起こるための必須条件であることがわかった。なお、初期流体圧が高い場合ほど、脱水反応に伴う空隙生成が大きいほど、透水率が低いほど、また、初期温度が脱水開始温度に近いほど、よりゆっくりとしたすべりが起こりうることがわかった。初期流体圧が高くなければならないという結果は、地震学的観測結果と調和的である。また、初期流体圧が高ければ、すべりに伴う応力効果量は低くなり、これもスロースリップに関する観測結果と調和的である。なぜ、沈み込み帯の下部で、上に述べたような大きな破砕が起こるかということは疑問ではあるが、これは、おそらく繰り返す脱水反応により破砕度が比較的高くなっているためだと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度7月に、1次元モデルの成果を海外の論文誌に投稿したが、審査に異常に時間がかかった。さらに当該論文で仮定した物性値の値について疑問が呈された。この疑問に答えるため、物性値に再計算を行い、数値計算を実行しなおした。物性値の計算は海外の共著者が行ったが、連絡に時間がかかり、さらにひとつひとつの数値計算に時間がかかったため、原稿の修正に予想外に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1次元モデルについての原稿の修正は、ほぼ終了した。5月頃には再投稿の予定である。これを拡張した2次元モデルについては、プログラムは完成したので、その後、直ちに本計算に取り掛かり、今年度中にこれも論文として投稿したい。
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Research Products
(3 results)